20224月期開講講座

【注意事項】

こちらの講座はすべてオンラインでの実施となります。

Youtubeで見逃し配信がある講座もあります(受講生限定、講座期間内のみ、参加者との質疑応答の時間は除く)。

​見逃し配信がない講座もありますので、お申し込みの際はご注意ください。

受講を希望される場合は、各講座ごとの受付ページでのお申し込みをお願いいたします。

​講座のレベル ※あくまで目安としてお考えください。

☆・・・その分野について関心があり、これから学んでみようと思う方

☆☆・・・その分野についてより深く学んでみたい方

☆☆☆・・・普段からその分野によく親しんでいる方

人文学/Online     

  語学  

古典ギリシア語に触れてみる(全4回) 

初回日時: 2022年4月28日 (木) 19:30 - 21:00
日程  : 4月‐7月の第4木曜日(4/28、5/26、6/23、7/28) 
場所  : オンライン会議アプリ「Zoom(ズーム)」 を使用したオンライン講座

参加費 : 全4回 一般8,000円/学生4,000円

受講のお申し込みはこちらから。

Youtubeにて見逃し配信あり(受講生限定、4月期講座期間内のみ、参加者との質疑応答の時間は除く)

「古典ギリシア語」と聞いて、何を思い浮かべるでしょうか? エーゲ海に屹立する半島や島々の古代都市・遺跡とそこで暮らしていただろう人々、プラトンやアリストテレスなど哲学者が議論する姿――「アテナイの学堂」のように!――、生き生きとした神話や英雄叙事詩、朱と黒の二色調で描かれた壺絵に添えられた文字……
 あるいはphysics(物理学)やpsychology(心理学)のような現代にまで生きている科学用語を思い浮かべる方もおられるかもしれません。この言葉が欧米で古典語としてたいへん尊重されてきたことは、改めて紹介するまでもないでしょう。かつてこの言葉が生きていたころ、多くの方が思い浮かべるような「古代ギリシア」の文明が、もちろんそれでもって多彩な文学・文献を生み出しました。しかしそれにはとどまりません。ヘレニズム時代、古典のそれに比べて比較的簡単なギリシア語「コイネー」が普及した後も、ローマ時代に「古典ギリシア語」という表現に富む文学言語を復活させようという試みがありました。この流れはキリスト教化の時代を通じて所謂ビザンツ時代にまで続いており、こんにち私たちが古典ギリシア語を「古典」として読めるのも、この連綿と続く伝統によるものが大きいと言えます。近代ヨーロッパは独自の仕方で尊敬と関心をもってこの伝統の継承者のひとつとなりました。
 かくも豊富な伝統をもつ古典ギリシア語は、その語彙、語法、表現その他いずれに関しても驚くほど豊かな相貌を持っています。そしてそれが同時に、学習するのが難しい、というイメージの一因にもなっていることでしょう。とはいえ、とっかかりと勘所さえ押さえれば、この言葉をものにすることは、決して不可能ではないばかりか、その言葉と文化が豊かであればあるだけ豊穣な実りを人生にもたらしてくれるはずです。この講座では、その「とっかかりと勘所」の、さらに一番基本的なところ――歴史とアルファベット、簡単な文法事項――を紹介します。みなさんも古典ギリシア語の世界に足を踏み入れてみませんか。

 

【各回の予定】

第一回: ギリシア語の歴史

ギリシア語とそれを担ってきた人々の歴史を学びつつ、アルファベットを簡単に紹介します。

第二回: アルファベットと色々な記号

改めてアルファ、デルタ、オミクロンなどのギリシア語アルファベットを学習し、単語を正確に発音するためのいろいろな記号を併せて学びます。

第三回: 名詞、冠詞

簡単な名詞と、それが文章のなかで果たす役目に応じて語尾を変化させる仕方(格変化)を学びます。また冠詞――英語のようなややこしいルールはありません!――も学習します。

第四回: 動詞

簡単な動詞と、「誰がそれをするか」によって語尾を変化させる仕方(活用)を学びます。短い文章を読んで訳してみることも目指します。

【参考文献】

河島思朗『ギリシア語練習プリント』
田中美知太郎・松平千秋『ギリシア語入門』
ジャクリーヌ・ド・ロミィ『ギリシア文学概説』
柳沼重剛『ギリシア・ローマ名言集』

【講師】

砂田恭佑(すなだ きょうすけ)
1994年生まれ。東京大学大学院総合文化研究科で修士(学術)を取得、現在は同博士課程に在籍、2022年度は大東文化大学でギリシア語文法、西洋文化史、キリスト教史などを担当。専門はギリシア教父や古代末期文献、特に「アンティオキア派」と呼ばれる人々の研究。

  哲学  

思想史から親鸞を読みなおす――〈災害社会〉の中世を生きた親鸞の思想(全4回) 

初回日時: 2022年4月20日 (水) 19:30 - 21:00
日程  : 4月‐7月の第3水曜日(4/20、5/18、6/15、7/20)
場所  : オンライン会議アプリ「Zoom(ズーム)」 を使用したオンライン講座

参加費 : 全4回 一般8,000円/学生4,000円

受講のお申し込みはこちらから。

Youtubeにて見逃し配信あり(受講生限定、4月期講座期間内のみ、参加者との質疑応答の時間は除く)

 本講座では、近代主義の視点から読まれがちだった親鸞の思想を、あらためて中世という〈歴史に埋め込まれた親鸞〉の視点から捉え返し、それを通して親鸞思想の新たな面と歴史的意義を描き出していきたいと思います。その際、近年の環境史研究を踏まえて中世を新たに〈災害社会〉と捉えたうえで、中世説話も援用しつつ、災害苦ゆえの民衆の切実な願いへの親鸞の応答を軸に、親鸞の生きざまと思想をなるべく分かりやすく紹介していきます。
 親鸞は、日本仏教史において〈鎌倉新仏教の大成者〉として知られます。親鸞は、その後巨大化した親鸞系教団の開祖として神聖視されつつ、現代まで宗教的にも他力の浄土信仰として民衆に影響を与えてきました。近代以後は、教団で秘匿されてきた『歎異抄』の〈発見〉により、思想界や文学界で〈人間親鸞〉や〈悪人正機説〉が注目され、近代的自我の模索の中で、欲望解放のヒューマニズムや、超越的存在による内面的主体の思想と理解されてきました。それは戦後、哲学・信仰論では西田哲学や三木清らを起点に宗教哲学や実存哲学として深められ、他方歴史学では、反国家主義思想、封建社会からの民衆解放思想と評価されてきました。
 現代でもこれらを土台に、吉本隆明や五木寛之など多くの思想家・文学者らが親鸞を論じ、親鸞の〈生まの語録〉とされる『歎異抄』は隠れたベストセラーとも言われます。
 このような近代以降の親鸞論はそれぞれ、近現代の思想問題の解決として、あるいは近現代人の生の悩みへの応答として、重要な意義があります。しかし、思想史の観点からは大きな問題があると言わざるをえません。一つは、親鸞の信仰・思想が、彼の主著『教行信証』でなく、彼の没後に書かれた弟子の聞書きの『歎異抄』を中心に理解されていることです。もう一つは、中世を生きた一人の親鸞が奇妙にも、宗教学・哲学系の〈社会性なき内面的信仰者〉親鸞と歴史学・社会思想系の〈信仰なき社会思想家〉親鸞とに断裂してしまっていることです。これらの問題は、近代思想を普遍的とみなす立場から、特に内面主義の近代的宗教観とマルクス主義の宗教アヘン論を中世に投影した近代主義に由来するといえます。
 この講義では、このような近代主義の色眼鏡をはずした思想史の立場から、親鸞を中世という時代に〈埋め込まれた〉信仰者・思想家として読み解くことで、〈災害社会〉に向き合った親鸞の思想の歴史的意義を明らかにしていきたいと思います。

【各回の予定】

第一回:近代における親鸞の二重の〈発見〉と近代の親鸞論、思想史の視点
第二回:〈災害社会〉の中の中世仏教と法然浄土教の歴史的位置
第三回:夢から解読する〈災害社会〉の中の親鸞の信仰の深化
第四回:〈災害社会〉中世ゆえの親鸞浄土教の思想史的意義

【参考文献】

1)亀山純生『〈災害社会〉・東国農民と親鸞浄土教―――夢から解読する〈歴史に埋め込まれた親鸞〉と思想史的意義』農林統計出版、2012
2)亀山純生『中世民衆思想と法然浄土教―――〈歴史に埋め込まれた親鸞〉への視座』大月書店、2003
3)亀山純生『現代日本の「宗教」を問い直す』青木書店、2003
4)末木文美士『親鸞』ミネルヴァ書房、2016
5)赤松俊秀『親鸞』吉川弘文館、1961

【講師】

亀山純生(かめやま すみお)
1948年生。京都大学大学院文学研究科博士課程(哲学専攻)修了
社会学博士(一橋大学)
現在:東京農工大学名誉教授・武蔵野大学仏教文化研究所客員研究員
   専門分野:倫理学・環境思想・日本思想史
   主な著書(参考文献記載以外)
『人間と価値』(単著)青木書店1989、『うその倫理学』(単著)大月書店1997、『環境倫理と風土』(単著)大月書店2006、『〈農〉と共生の思想』(共編著)農林統計出版2011、『風土的環境倫理と現代社会』(監修・著)農林統計出版2020など。

  文学  

アダプテーションから考える――『ロミオとジュリエット』と『ウエストサイド・ストーリー』(全4回) 

初回日時: 2022年4月26日 (火) 19:30 - 21:00
日程  : 4月‐7月の第4火曜日(4/26、5/24、6/28、7/26)
場所  : オンライン会議アプリ「Zoom(ズーム)」 を使用したオンライン講座
参加費 : 全4回 一般8,000円/学生4,000円

​受講のお申し込みはこちらから。

Youtubeにて見逃し配信あり(受講生限定、4月期講座期間内のみ、参加者との質疑応答の時間は除く)

 本講座では、『ロミオとジュリエット』のアダプテーションとしての『ウエストサイド・ストーリー』を取り上げます。
 お馴染みのロバート・ワイズ、ジェローム・ロビンズ監督版『ウエストサイド物語』(1961年)に加え、2022年2月11日、スピルバーグ監督による『ウエストサイド・ストーリー』があらたに日本公開されました。1961年版は、『ロミオとジュリエット』の枠組みを借りて、1950年代ニューヨークにおける「白人」とプエルト・リコ移民の対立を軸としてニューヨークの貧困、移民、非行、共産主義恐怖を描くために、制作されたものですが、今回スピルバーグと脚本のトニー・クシュナー(『エンジェルス・イン・アメリカ』:1980年代エイズ禍下ニューヨークに生きるゲイたちを描いた)は、原作を、さらに1961年版を、どのように換骨奪胎するのでしょうか。スピルバーグ版の現代的意味をより深く理解するために、原作の『ロミオとジュリエット』、1961年版を振り返りながら進めていきたいと思います。

 

【各回の予定】

第一回: ヴェローナの物語: シェイクスピア『ロミオとジュリエット』(1590年ころ)
第二回: ヴェローナからNYへ: 「ロミジュリ」は時空を超える?―1961年版『ウエストサイド・ストーリー』
第三回: プエルト・リコからNYへ: 「アメリカ」の夢と現実―1961年版『ウエストサイド・ストーリー』
第四回:  今、わたしたちにとっての「ロミジュリ」とは?:2021年版『ウエストサイド・ストーリー』

 

【とりあげる作品】
ロバート・ワイズ、ジェローム・ロビンズ監督版『ウエストサイド・ストーリー』(1961)
スティーヴン・スピルバーグ、トニー・クシュナー『ウエストサイド・ストーリー』(2021)
ウィリアム・シェイクスピア『ロミオとジュリエット』

【参考図書】

松岡和子訳『ロミオとジュリエット』(ちくま文庫、1996年)
アーヴィング・シュルマン『ウエスト・サイド・ストーリー』(新訳版)(ハヤカワepi文庫、2021年)
『ウエスト・サイド物語』(スクリーンプレイ)(フォーインクリエイティブプロダクツ、1995年)
West Side Story, written by Tony Kushner, Based on the book for the musical by Arthur Laurents (Twentieth Century Fox, 2019).  https://deadline.com/wp-content/uploads/2022/01/West-Side-Story-Read-The-Screenplay.pdf

 

【講師】

吉原ゆかり(よしはら ゆかり)
吉原ゆかり(筑波大学 准教授)は、ポピュラー・カルチャーにおけるシェイクスピア・リメイク作品を研究している。「これ、シェイクスピア、マジで?」(松田幸子、笹山敬輔、姚紅編『異文化理解とパフォーマンス』春風社)、「「どっちだってグローカル-漫画/mangaとシェイクスピア」(大城房美編『女性マンガ研究』青弓社)など。

  歴史  

「ポスト・トゥルース」時代の「基礎教養」としてのナチズム・ホロコースト(全4回) ☆

初回日時: 2022年4月27日 (水) 19:30 - 21:00
日程  : 4月‐7月の第4水曜日(4/27、5/25、6/22、7/27)
場所  : オンライン会議アプリ「Zoom(ズーム)」 を使用したオンライン講座
参加費 : 全4回 一般8,000円/学生4,000円

受講のお申し込みはこちらから。

Youtubeにて見逃し配信あり(受講生限定、4月期講座期間内のみ、参加者との質疑応答の時間は除く)

 ナチ体制が終焉してからすでに75年以上が経っているにもかかわらず、ヒトラーやナチズムについて社会的関心が衰える様子はありません。毎年のようにナチスに関する新しい著作がいくつも刊行され、映画も何本も公開されています。それはナチズム研究者としてある意味で「喜ばしい」ことではあるのですが、その一方で見過ごせない状況も目立つようになってきています。とりわけSNSを中心に著しく正確性に欠ける情報やあからさまな虚偽が出回ったり、数十年前の知識がアップデートされないままそのまま流布したりしていることが少なくないのです。ナチスやホロコーストをめぐる言説は、「ポリティカル・コレクトネス」(政治的正しさ)打倒のための格好の「標的」にされやすいところがあるようです。
 このような「ポスト・トゥルース」時代にあって、必要なことは二つあるように思います。一つは、できる限り現在の研究状況を踏まえた正確な知識を持つことです。本講座では、ナチが政権を獲得し、支配を強化していく過程(第1回)と、ホロコースト・独ソ戦(第3回)について、近年の研究状況を踏まえた概観を行います。
 しかし、それだけでは十分ではないようにも感じています。ネット上で昨今目立つようになった「ナチスはいいこともした」という議論はなぜ繰り返し持ち出されるのか(第2回)、さまざまな「陰謀論」はどのような社会的役割を果たしているのか(第4回)。それらのテーマを通じて、「ポスト・トゥルース」の流れに対して私たちはどのように立ち向かえばよいのか、皆さんと一緒に考えていきたいと考えています。

【各回の予定】

第一回:「賛同に基づく独裁」としてのナチ体制

ナチが政権を掌握し支配を強化していく1939年までの過程を概観します。

第二回:「ナチスはいいこともした」論は正しいか?

「ナチスはアウトバーンをつくった」「充実した家族政策を行った」などの妥当性を検討します。

第三回:ホロコースト・独ソ戦の展開

大量殺戮にまでいたるホロコーストの過程を、近年の研究も踏まえ概観します。

第四回:ナチスをめぐる「陰謀論」

国会議事堂放火事件、「背後からの一突き」論、「シオンの賢者の議定書」という三つの事例をもとに、「陰謀論」が歴史において果たす役割について考えたいと思います。

 

【参考図書】

・石田勇治『ヒトラーとナチ・ドイツ』講談社現代新書、2015年。
・ウルリヒ・ヘルベルト、小野寺拓也訳『第三帝国―ある独裁の歴史』角川新書、2021年。
・リチャード・ベッセル、大山晶訳『ナチスの戦争1918-1949 民族と人種の戦い』中公新書、2015年。
・芝健介『ホロコースト』中公新書、2008年。
・芝健介『ヒトラー』岩波新書、2021年。

【講師】

小野寺 拓也(おのでら たくや)
1975年生まれ。東京大学大学院人文社会系研究科博士課程修了。東京外国語大学総合国際学研究院准教授(2022年4月~)。専門はドイツ現代史。著書に『野戦郵便から読み解く「ふつうのドイツ兵」——第二次世界大戦末期におけるイデオロギーと「主体性」』(山川出版社、2012)、共著に『20世紀の戦争——その歴史的位相』(メトロポリタン史学会編、有志舎、2012)、訳書にS・ナイツェル/H・ヴェルツァー『兵士というもの——ドイツ兵捕虜盗聴記録に見る戦争の心理』(みすず書房、2018)、U・ヘルベルト『第三帝国—ある独裁の歴史』(角川書店、2021)、R・ミュールホイザー『戦場の性——独ソ戦下のドイツ兵と女性たち』(共訳、姫岡とし子監訳、岩波書店、2015)などがある。

  美術  

江戸時代絵画をじっくり見る(全4回) ☆

初回日時: 2022年4月14日 (木) 19:30 - 21:00
日程  : 4月‐7月の第2木曜日(4/14、5/12、6/9、7/14)
場所  : オンライン会議アプリ「Zoom(ズーム)」 を使用したオンライン講座
参加費 : 全4回 一般8,000円/学生4,000円

​受講のお申し込みはこちらから。

【※本講座は見逃し配信がありません。何卒ご了承ください。】

 

 江戸時代の絵画に日常的に触れていらっしゃる方はそう多くはないと思います。古い日本美術作品を鑑賞するためには博物館・美術館に行くのが一般的ですが、コロナ禍でそのような機会も減っているのではないでしょうか。
 美術史研究においては本物を見ることが何より大切なのですが、それが叶わない昨今、作品の画像を一緒に見てお話しすることで、普段馴染みのない方にも江戸時代の絵画について興味を持って頂けると幸いです。そして、コロナが落ち着いたら自ら美術館に足を運んでもらえると嬉しく思います。
 今回は、江戸時代の絵画を語る上で外すことができない狩野派の作品を皮切りに、円山・四条派、奇想派、文人画など各ジャンルの作品をじっくり見たり、あるいは比較したりして、表現方法や描かれている内容を皆さんと考えたいと思います。どうか、難しく考えずにリラックスして江戸時代絵画の世界をお楽しみください。

【各回の予定】

第一回: 絵画の形式/狩野派について
第二回: 円山・四条派-応挙・呉春-について
第三回: 奇想派-若冲・蕭白・芦雪-について
第四回: 文人画-大雅・蕪村-について

【参考図書】

・辻惟雄著『奇想の系譜』、ちくま学芸文庫、2004年
・河野元昭著『別冊太陽150 江戸絵画入門』、平凡社、2007年
・山下裕二ほか著『別冊太陽131 狩野派決定版』、平凡社、2004年
・樋口一貴著『もっと知りたい円山応挙 生涯と作品』、東京美術、2013年
・黒田泰三著『もっと知りたい文人画 大雅・蕪村と文人画の巨匠たち』、東京美術、2018年

 

【講師】

波瀬山祥子(はせやま しょうこ)
大阪大学総合学術博物館・研究支援推進員。愛媛大学非常勤講師。大阪大学大学院文学研究科博士後期課程在籍。専門は江戸時代絵画を中心とする日本美術史。京都の嵯峨嵐山文華館の学芸員として「ときたび―時を超え、絵画で旅する日本の名所―」展などを企画担当。論文に「曾我蕭白の鳥獣画と文芸」(『美術史』183冊、2017年)、「曾我蕭白と『存心』」(『フィロカリア』37号、2020年)など。

人文学ゼミ/Online     

  哲学  

フェミニスト倫理学入門(全4回) 

初回日時: 2022年4月15日 (金) 19:30 - 21:00

日程  : 4月‐7月の第3金曜日(4/15、5/20、6/17、7/15)

場所  : オンライン会議アプリ「Zoom(ズーム)」 を使用したオンライン講座

参加費 : 全4回 一般8,000円/学生4,000円

​受講のお申し込みはこちらから。

【※本講座は見逃し配信がありません。何卒ご了承ください。】

 日本において、フェミニズムという思想はつねに運動とともにあり、それが「女性学」という学問として大学の授業に最初に取り入れられたのは1974年のことです。こうした思想は、主として社会科学系の学問において受容されてきましたが、近年さまざまな分野でその学問の名前に「フェミニスト」と冠したものが続々と誕生しています。哲学/倫理学の分野において、その先達とされるのは大越愛子さん、金井淑子さん、掛川典子さんをはじめとした女性研究者たちでした。そして近年、欧米でのフェミニスト哲学/倫理学の活発な議論を受けて日本でも研究が活発になりつつありますが、まだ知名度は高くはありません。
 本講座では、フェミニズムの中でも第二波フェミニズムといわれる1960年代末から70年代にかけての運動やその思想についての歴史的背景を概観した上で、その中から生まれてきた「ケアの倫理」という考え方が哲学/倫理学研究に与えた影響を検討し、それ以降の哲学/倫理学において今何が問題になっているのかみなさんとともに考えていきます。授業の前半は講師による講義を行い、後半は参加者のみなさんとディスカッションをします。
 Personal is Political(個人的なことは政治的なこと)!というのは、第二波フェミニズムにおける有名なスローガンですが、本講座ではPersonal is Political is Philosophical( Kittay 2009)をスローガンに参加者のみなさんとともに身近な問題の重要性をじっくり考える時間にしたいと思います。みんなで何かを読むというよりは、参加者のみなさんが考えたいという切実な問いを自分で切り開くための基礎を身につけ、読みたい本を探すための手がかりを提供したいと考えています。フェミニズムや哲学/倫理学についての基礎知識は必要なく、他者とともに丁寧な対話をしながら学びたいという意思があれば十分です。

 

【各回の予定】

第一回: ケアの倫理とフェミニズム
    講義:ケアの倫理と第二波フェミニズムとの関係
    ディスカッション:身近な出来事と「ケアの倫理」や「フェミニズム」について関連づけて話し合う。
第二回: フェミニズムと哲学
    講義:さまざまな〈フェミニスト哲学〉の現状と課題
    ディスカッション:各自が考える哲学のイメージとフェミニズムとの異同について話し合う
第三回: フェミニズムと倫理学
    講義:倫理学の枠組みの基礎的な説明と、フェミニズムがそこに与えた/与えうる影響
    ディスカッション:倫理学という学問におけるフェミニズムの位置付けについて考える
第四回: フェミニスト倫理学の展開:ケアとグローバリゼーション
    講義:グローバリゼーション下における移住ケア労働と女性の階層化と倫理学
    ディスカッション:ケアする責任を負うべきは誰か、その仕事をするべきは誰か考える

 

【参考図書】

購入の必要はありませんが、さらに学びたい方には以下の本をお勧めします(以下五十音順)
・稲原美苗他(2020)『フェミニスト現象学入門:経験から「普通」を問い直す』ナカニシヤ出版。
・大越愛子(1996)『フェミニズム入門』(ちくま新書)、筑摩書房。
・金井淑子(2013)『倫理学とフェミニズム:ジェンダー、身体、他者をめぐるジレンマ』ナカニシヤ出版。
・小手川正二郎(2020)『現実を解きほぐすための哲学』トランスビュー。
・ベル・フックス(2020)『フェミニズムはみんなのもの:情熱の政治学』堀田碧訳、エトセトラブックス。

 

【講師】

佐藤靜(さとう さやか)
大阪樟蔭女子大学 学芸学部 教員、専門は倫理学(フェミニスト倫理学/戦後日本民衆思想)

 

  歴史  

古文書ワークショップ(全4回) ☆

初回日時: 2022年4月8日 (金) 19:30 - 21:00
日程  : 4月‐7月の第2金曜日(4/8、5/13、6/10、7/8)
場所  : オンライン会議アプリ「Zoom(ズーム)」 を使用したオンライン講座
参加費 : 全4回 一般8,000円/学生4,000円

​受講のお申し込みはこちらから。

Youtubeにて見逃し配信あり(受講生限定、4月期講座期間内のみ、参加者との質疑応答の時間は除く)
 

 破れかけた和紙、ミミズがのたうったような筆文字、漢字か ひらがなか カタカナか、そもそもどれが一文字なのかもわからない――古文書(こもんじょ)に、こんなイメージをお持ちではないでしょうか。多くの方にとって古文書は、テレビの画面越しに、あるいは博物館のガラスケースをはさんで「触れる」程度の、縁遠いものかも知れません。
 歴史を探ろうとするとき、その重要な手がかりとなる史料(歴史資料)は、しばしば古文書です。全国各地には、いまも大量に未整理の古文書が残されています。それらを読み解くことは、歴史に新たな光をあてたり、歴史像を大きく書き替えたりすることにつながる可能性をひらきます。
 この講座は、これまで古文書に触れたり、読んだりした経験をもたない方々を対象に、古文書を読むための基礎からはじめて、古文書を読んで内容を知り、それがつくられ、残された背景をさぐるなど、1点の古文書から歴史を読み解く楽しさを体感していただくことを目指しています。いわば、古文書講座の入門編です。
 今回の講座では、徳川御三卿の一つ、清水家に仕えた村尾嘉陵が江戸近郊にある名所・旧蹟の様子を書いた『江戸近郊道しるべ』を読む予定です。新型コロナウイルス感染症の流行状況が落ち着けば、村尾嘉陵が訪れた名所・旧跡の巡検も検討したいと考えています。最終回は、受講者のリクエストを聞きながらテキストを決めていきます。4回の講座でどんな古文書もすらすら読めるようになる、などとは申しませんが、まず古文書に親しんでみたい、ただ読むだけではなく、そこから歴史をのぞいてみたいという方々と一緒に、ゆっくり、じっくり古文書を読んでいきたいと思っています。

【各回の予定】

第一回:古文書を読むためのキホンのキ―「慶安の御触書」を読む
第二回:江戸近郊の紀行文を読む①
第三回:江戸近郊の紀行文を読む②
第四回:江戸時代の古文書を読む(リクエストに応えて)

 

【参考図書】

鈴木直樹『近世関東の土豪と地域社会』(吉川弘文館、2019年)
児玉幸多編『漢字くずし方辞典 新装版』(東京堂書店、2019年)
油井宏子『古文書くずし字見わけかたの極意』(柏書房、2013年)
林英夫『基礎 古文書のよみかた』(柏書房、1998年)

【講師】

鈴木直樹(すずき なおき)
中央大学広報室大学史資料課嘱託職員、専門は歴史学(日本近世史・近代史/地域史・村落史)
著書に『近世関東の土豪と地域社会』(吉川弘文館、2019年)、『藩地域の環境と藩政』(共著、岩田書院、2020年)。論文に「宝永地震後の復旧・開発過程と地域社会」(小酒井大悟・渡辺尚志編『近世村の生活史』清文堂出版、2020年)など。

  語学  

ラテン語中級講読1(全8回) ☆☆☆ ※月2回開講 

初回日時: 2022年4月13日 (水) 19:30 - 21:00
日程  : 4月‐7月の第2・第4水曜日(4/13、4/27、5/11、5/25、6/8、6/22、7/13、7/27)
場所  : オンライン会議アプリ「Zoom(ズーム)」 を使用したオンライン講座
参加費 : 全8回 一般16,000円/学生8,000円

​受講のお申し込みはこちらから。

Youtubeにて見逃し配信あり(受講生限定、4月期講座期間内のみ、参加者との質疑応答の時間は除く)

 本講座では、ラテン語原典を読んでいきます。原典といっても未訳のものや複雑な構文のラテン語ではありませんし、一文ずつ文法解析しながらすすんでいきますので、ラテン語文法を一通り学んだ方であれば問題なく受講可能です。
 全8回の内、前半ではエレゲイア・ラテン恋愛詩を読んでいきます。エレゲイアとは韻律の一種で、ラテン文学では作者自身の恋愛の苦悶や歓喜といった感情をエレゲイアの韻律で表現した一群の作品が存在しています。本講座ではその代表的人物であるカトゥッルス(前87頃-55頃)、プロペルティウス(前1世紀後半)、オウィディウス(前43頃-後18頃)の作品から抜粋した原典を読んでいきます。
 後半では中世のラテン語を読んでいきます。中世のラテン語は多くの場合決して文法的に複雑ではないのですが、西ローマ帝国崩壊以降の政治的混乱もあり、いわゆる模範的な黄金期に比べて多くの文法的“乱れ”があります。しかし、直接間接にかかわらず、西洋中世が現代にまで思想や文化において大きな影響を与え続けていることは疑いなく、その原典に触れてみることは少なからぬ意義があるのではないでしょうか。本講座では中世ラテン語を読む上での注意点について概説した上で、中世ラテン語の入門者向け抜粋集から『アレクサンデル物語』として知られる物語を読んでいきます。


※本講座は、博士による人文知提供のプラットフォーム「クェス(QeS: Quid est Sapientia)」の協力講座です。

【各回の予定】

第一回:ラテン恋愛詩を読む(1)
第二回:ラテン恋愛詩を読む(2)
第三回:ラテン恋愛詩を読む(3)
第四回:ラテン恋愛詩を読む(4)
第五回:中世のラテン語を読む(1)
第六回:中世のラテン語を読む(2)
第七回:中世のラテン語を読む(3)
第八回:中世のラテン語を読む(4)

【参考図書】

水谷智洋(編)『羅和辞典<改訂版>』研究社、2009年
松平千秋、国原吉之助『新ラテン文法』東洋出版、1990年
河島思朗『基本から学ぶラテン語』ナツメ社、2016年
山下太郎『しっかり学ぶ初級ラテン語』ベレ出版、2013年

【講師】

村上 寛(むらかみ ひろし)
博士(文学)。立教大学、明治学院大学、上智大学非常勤講師(ラテン語科目)。専門は西洋中世思想。(単著)『鏡・意志・魂―ポレートと呼ばれるマルグリットとその思想』晃洋書房、2018年。(共著)「マルグリット・ポレートの神化思想―源流と波紋、水と火の比喩を中心に」(田島照久、阿部善彦編著『テオーシス―東方・西方教会における人間神化思想の伝統』教友社、2018年)、他。クェス(QeS: Quid est Sapientia)代表。

  語学  

ラテン語を読んでみる6(全8回) ☆☆ ※月2回開講 

初回日時: 2022年4月6日 (水) 19:30 - 21:00
日程  : 4月‐7月の第1・第3水曜日(5月は第3水曜日のみ、6月は第5水曜日もあり)(4/6、4/20、5/18、6/1、6/15、6/29、7/6、7/20)
場所  : オンライン会議アプリ「Zoom(ズーム)」 を使用したオンライン講座
参加費 : 全8回 一般16,000円/学生8,000円

​受講のお申し込みはこちらから。

Youtubeにて見逃し配信あり(受講生限定、4月期講座期間内のみ、参加者との質疑応答の時間は除く)

 本講座では、初学者向けに編纂されたローマの風俗についての文章や、ミサ曲のラテン語といった比較的平易なラテン語を読んでいきます。
 ラテン語は、現在母語として日常的に使用している民族がいないという意味では死語であり、直接何かの役に立つ言語ではありません。しかし、2000年以上にわたって書かれ、読まれてきたラテン語の原典に直接アクセス出来るようになるということは、時代を超えて西洋の思想や文化の源泉に直接触れることが出来るようになるということであり、その根底に直接アプローチ出来るようになるということではないでしょうか。
 受講にあたっては初級文法を一通り学んでいることが望ましくはありますが、一文ずつ文法解析しながら丁寧に読んでいきますので、名詞および形容詞の格変化、動詞の活用についておおむね理解出来ている方であれば問題なく受講可能です。予めテキストをお配りしますので、事前に語彙や用法について調べておいていただき、授業では一語一語確認しながら分からなかった単語や文法事項について解説していきます。事前に調べておいていただくことは必須ではありませんので、可能な範囲で単語を調べたり訳文を考えたりしながら「ラテン語を読んでみる」ことを楽しんでみてください。

※こちらの講座は、2021年9月期講座「ラテン語を読んでみるV」と連続する内容となっておりますが、今期からの受講も可能です。
本講座は、博士による人文知提供のプラットフォーム「クェス(QeS: Quid est Sapientia)」の協力講座です。

【各回の予定】

第一回:初学者用のラテン語を読んでみる(1)
Cambridge Latin Courseより。
第二回:初学者用のラテン語を読んでみる(2)
Cambridge Latin Courseより。
第三回:初学者用のラテン語を読んでみる(3)
Cambridge Latin Courseより。
第四回:初学者用のラテン語を読んでみる(4)
Cambridge Latin Courseより。
第五回:音楽のラテン語を読んでみる(1)
ミサ曲よりGloria、Credo。
第六回: 音楽のラテン語を読んでみる(2)
Stabat Mater dolorosa。
第七回:旧約聖書を読んでみる(1)
ウルガタ訳より「創世記」。
第八回:旧約聖書を読んでみる(2)
ウルガタ訳より「創世記」。

 

【参考図書】
水谷智洋(編)『羅和辞典<改訂版>』研究社、2009年
松平千秋、国原吉之助『新ラテン文法』東洋出版、1990年
河島思朗『基本から学ぶラテン語』ナツメ社、2016年
山下太郎『しっかり学ぶ初級ラテン語』ベレ出版、2013年


【講師】

村上 寛(むらかみ ひろし)
博士(文学)。立教大学、明治学院大学、上智大学非常勤講師(ラテン語科目)。専門は西洋中世思想。(単著)『鏡・意志・魂―ポレートと呼ばれるマルグリットとその思想』晃洋書房、2018年。(共著)「マルグリット・ポレートの神化思想―源流と波紋、水と火の比喩を中心に」(田島照久、阿部善彦編著『テオーシス―東方・西方教会における人間神化思想の伝統』教友社、2018年)、他。クェス(QeS: Quid est Sapientia)代表。

  文学  

『源氏物語』を読む(全8回) ☆☆ ※月2回開講  

初回日時: 2022年4月7日 (木) 19:30 - 21:00
日程  : 4月‐7月の第1・第3木曜日(5月は第3木曜日のみ、6月は第5木曜日もあり)(4/7、4/21、5/19、6/2、6/16、6/30、7/7、7/21)
場所  : オンライン会議アプリ「Zoom(ズーム)」 を使用したオンライン講座
参加費 : 全8回 一般16,000円/学生8,000円

​受講のお申し込みはこちらから。

Youtubeにて見逃し配信あり(受講生限定、4月期講座期間内のみ、参加者との質疑応答の時間は除く)

日本文学のなかで最も有名な作品のひとつである『源氏物語』ですが、実際に原文で読んだことのある人は多くないでしょう。学校の授業や試験に出た経験から、難しく堅苦しい、間違ってはいけないものというイメージをお持ちの方もいるかもしれません。ですが少しずつ気になる部分を見つけて読んでいけば、決して難しいものではありません。
 本講座では、いくつかの注釈書を比較し参考にしながら、『源氏物語』を原文で少しずつ読んでいきます。適宜解説し、現代語訳も参照しますので、高校の古典に苦手意識を持っていた方でも大丈夫です。主人公であった光源氏が亡くなった後の、宇治を舞台とする宇治十帖を読んでいきます。9月期からの続きを読んでいきますが、それまでの部分についても説明しますので、初めての方でも安心してご参加になれます。今回は総角巻の終盤、ヒロインのひとりである大君の病が重くなり、いよいよ臨終を迎える前後から読み始めます。
 宇治十帖においては、真剣な主人公とアイロニカルな語りの落差がときに滑稽さを産み出します。これまで知らなかった『源氏物語』の魅力を見つけることができるでしょう。

※こちらの講座は、2022年9月期講座「『源氏物語』を読む」と連続する内容となっておりますが、今期からの受講も可能です。

【使用テキスト】

特に指定はしませんが、何らかのテキストをご準備いただけますと助かります。
文庫であれば、角川文庫(8巻以降)岩波文庫(7巻以降)があります。

【講師】

西原志保(にしはら しほ)
共愛学園前橋国際大学、大東文化大学ほか非常勤講師。博士(文学)。ジェンダー論、動物/人形/植物表象などの観点から日本文学作品を考察する。著書に『『源氏物語』女三の宮の〈内面〉』(新典社新書、2017年)。

※講師インタビューはこちら 

  哲学  

ヘーゲル『精神現象学』を読む(全8回) ☆☆☆ ※月2回開講

初回日時: 2022年4月11日 (月) 19:30 - 21:00
日程  : 4月‐7月の第2・第4月曜日(4/11、4/25、5/9、5/23、6/13、6/27、7/11、7/25)
場所  : オンライン会議アプリ「Zoom(ズーム)」 を使用したオンライン講座
参加費 : 全8回 一般16,000円/学生8,000円

​受講のお申し込みはこちらから。

Youtubeにて見逃し配信あり(受講生限定、4月期講座期間内のみ、参加者との質疑応答の時間は除く)

 

 この人文学ゼミは、前期から継続して近代ドイツの哲学者ヘーゲルの主著『精神現象学』を日本語で読み進めています。テキストを実際に読みながら、担当講師による解説と、受講者相互の議論を通じて、理解を深めていきます。『精神現象学』は哲学史上の重要著作でありながらも、とくに難解なことで知られていますが、専門家の手引きがあれば、予備知識のない読者でも十分読み進めていくことができます。
 今期は「精神章」の「A. 真の精神——人倫」の「b. 人倫的行為——人知と神知、罪と運命」から読み始めます。ここでヘーゲルは、ソフォクレスの『アンティゴネー』を下敷きにしながら、古代の共同体における個人の行為と運命との関係を描いていきます。そこでは、個々人の行為は近代のように個人の自由に発するものではないにもかかわらず、共同体に分裂と解体をもたらしていくことになり、それが近代を準備する「c. 法状態」を生み出すことになります。社会哲学、あるいは古代ギリシア文学や美学に興味のある方にも楽しんでいただける講座かと思います。
 最初の回にこれまでの概要の解説、加えて適宜哲学史の解説を行いますので、初めての方も安心して受講していただけます。

【使用テキスト】

『精神現象学』の翻訳は、講師による日本語訳を配布します。
既存の翻訳を手元に置いておきたい方は以下のものが比較的安価で定評があります。
樫山欽四郎訳、『精神現象学 上』、平凡社ライブラリー、1997年。
また、最近刊行された最新の翻訳も大変参考になります。
熊野純彦訳、 『精神現象学 上』、ちくま学芸文庫、2018年。

 

【参考文献】

ソポクレース『アンティゴネー』中務哲郎訳、岩波文庫、2014年

ソポクレス『オイディプス王』岩波文庫、藤沢令夫訳、岩波文庫、1967年

【講師】

大河内 泰樹(おおこうち たいじゅ)
京都大学大学院文学研究科教授。国立人文研究所代表。
著書に、『資本主義と危機』(共著、岩波書店、2021年)、『政治において正しいとはどういうことか』(共著、勁草書房、2019年)、訳書にミヒャエル・クヴァンテ『カール・マルクスの哲学』(共訳、リベルタス出版、2019年)、ジュディス・バトラー『欲望の主体 二〇世紀フランスにおけるポスト・ヘーゲル主義』(共訳、堀之内出版、2019年)など。

  哲学  

タイトル:ウィトゲンシュタイン『哲学探究』をあなたの自叙伝として読む(全8回) ☆☆☆ ※月2回開講

初回日時: 2022年4月5日 (火) 19:30 - 21:00
日程  : 4月‐7月の第1・第3火曜日(5月は第3・第5火曜日)(4/5、4/19、5/17、5/31、6/7、6/21、7/5、7/19)
場所  : オンライン会議アプリ「Zoom(ズーム)」 を使用したオンライン講座
参加費 : 全8回 一般16,000円/学生8,000円

​受講のお申し込みはこちらから。

Youtubeにて見逃し配信あり(受講生限定、4月期講座期間内のみ、参加者との質疑応答の時間は除く)

 私たちは生涯に何冊の本を読むでしょうか。そのうち何冊が、あなた自身のことを理解するよう仕向けるのでしょうか。読み手の疑問を封殺するのではなく読み手に当惑を語らせるテクストはどれほどあり、そのように仕組まれたテクストをあなたが見つける可能性はどれくらいでしょうか。『哲学探究』(以下、『探究』と呼びます)の序文には次のようにあります。「他の人々が私の書物によって自分で考えずに済ませることを私は望まない。私が望むのは、それが可能だとして、人が自身で思考するよう私の書物が励ますことである。」もしあなたが自身で何ごとかを語ることができると思う主体であるとして、そして、それをどのようにやりおおせてきたかを知りたいのであれば、ウィトゲンシュタインの『探究』は、あなたにとって替えのきかない一冊になります。
 2021年度の9月期には、『探究』の序文と、1節から16節までを読みました。「アウグスティヌス的言語像」(§1)、「完全なプリミティブ言語」(§2)、「語の指し示しによる教え」(§6)、「言語ゲーム」(§7)など、解釈上よく知られたキーワードがいくつも登場する箇所です。これらの簡素なモデルは、ガラス張りの実験室でのように、言葉を取り扱う私たちのしぐさがどのようであるかを教えてくれます。私たちがここで得た気づきは次のようなものです。語に特定の配置を与えることで(文を作ることで)世界について何ごとかを伝達することができるということを、私たちは疑いのないことだとみなしています。しかしながら、その強固さがどこから来るのかについては、はっきりと知ろうとしてはいませんでした。
 この気づきを持続・発展させるため、2022年度4月期では、17節以降を読んでいきます。私たちはいとも簡単に、文を品詞に分解するとか、反対に、語を合成して文を作るなどと言いますが、それは一体どのようにして行われることで、「行われる」とみなされているのでしょうか。分解するとか、合成するとか、配置するとか、いずれにせよ、私たちが意味の最小単位としていることの引き受け方というのはどのような風なのでしょうか。
 本講座では、『探究』を意味あることとして取り扱う主体としてのあなたが、どのようなしぐさでこのテクストを取り扱おうとしているかを最も重要なこととして考えます。テクストにあなたが何を見たかについて語ろうとするとき、あなたの言葉はもつれ、当惑で一杯かもしれません。しかしそのもつれと当惑が、あなたがあなた自身をどう理解しようとするかということです。そうした乱れを巧妙に隠してしまわないように、私はみなさんのガイドとなりたいと思います。

【各回の予定】

第一回:2021年秋学期のおさらい、『探究』(d)語の種類と役割のつづき(17-18節)
第二回:(e)文の概念と文の意味(19-20節)
第三回:(f)言語と行為—言語ゲームの多様性(21-25節)
第四回:第一章「言語とゲーム—新しい言語像」(1-25節)まとめ
第五回:第二章「「名」と「単純なもの」—『論考』形而上学の中心概念の批判的吟味」、(a)「名」という概念について(26-45節)、(a1)「命名」と「直示的定義」(26-33節)
第六回:(a2)「意味する」という概念(34-37節)
第七回:(a3)「名」とその「意味」の多様性(38-45節)
第八回:(b)「名」、「単純なもの」、分析—『論考』形而上学の核心(46-64節)、(b1)「名」と「単純なもの」の形而上学(46-47節)

 

【使用テキスト】

L. ウィトゲンシュタイン、『哲学探究』、鬼界彰夫訳、講談社、2020年。

 

【参考文献】

Wittgenstein, Ludwig: Philosophische Untersuchungen = Philosophical Investigations, G. E. M. Anscombe, P.M.S. Hacker and J. Schulte (trans.), Rev. 4th ed., Wiley-Blackwell, 2009.

L. ウィトゲンシュタイン、『哲学探究』、丘沢静也訳、岩波書店、2013年。
——、『ウィトゲンシュタイン『哲学的探求』』、黒崎宏解説・訳、第一部第二部、産業図書、1994-5年。
——、『ウィトゲンシュタイン全集8:哲学探究』、藤本隆志訳、大修館書店、1976年。

 

本講座では、鬼界彰夫訳を教科書として採用し、必要に応じて他の邦訳や原文、英訳を紹介します。ドイツ語が読めない方でも参加することができます。

【講師】
槇野 沙央理(まきの さおり)
東都大学・大正大学非常勤講師。専門は、ウィトゲンシュタインの哲学。
論文に、「『論考』を意味あることとして取り扱おうとした主体は本当にあなた自身であるか」、『現代思想:2022年1月臨時増刊号 総特集=ウィトゲンシュタイン -『論理哲学論考』100年-』、2021年12月、pp. 91-104。博士論文に、『自己明晰化としてのウィトゲンシュタイン哲学——治療的解釈を超えて』(千葉大学大学院人文社会科学研究科、2020年)。2022年に出版を控えている論文に、“Against the Quietist Picture of Philosophy: A Groundwork for Comparing Wittgenstein and Hegel”(Wittgenstein and Classical German Philosophy, Alexander Berg and Denys Kaidalov (eds.), De Gruyter, forthcoming)、「比較対象としての後期ウィトゲンシュタイン——ホワイトヘッドとは異なる言語の創造性へ」(『プロセス思想』、21号、日本ホワイトヘッド・プロセス研究会、頁数未定)があります。
哲学研究に従事する女性のためのネットワーキンググループWOMEN: WOVENのオーガナイザーを務めています(2020年から)。また、2022年に国際ワークショップ“Wittgenstein and Traditional German Philosophy”を開催予定です。
ホームページ:https://saorimakino.weebly.com