20229月期開講講座

【注意事項】

こちらの講座はすべてオンラインでの実施となります。

YouTubeで見逃し配信がある講座もあります(受講生限定、講座期間内のみ、参加者との質疑応答の時間は除く)。

​見逃し配信がない講座もありますので、お申し込みの際はご注意ください。

受講を希望される場合は、各講座ごとの受付ページでのお申し込みをお願いいたします。

​講座のレベル ※あくまで目安としてお考えください。

☆・・・その分野について関心があり、これから学んでみようと思う方

☆☆・・・その分野についてより深く学んでみたい方

☆☆☆・・・普段からその分野によく親しんでいる方

人文学/Online     

  哲学  

ニーチェ『ツァラトゥストラはこう言った』・エクスプレス読解(全8回) 

初回日時: 2022年9月9日 (金) 19:30 - 21:00
日程  : 9月‐12月の第2・第4金曜日(9月は第2・第5金曜日)(9/9、9/30、10/14、10/28、11/11、11/25、12/9、12/23)

場所  : オンライン会議アプリ「Zoom(ズーム)」 を使用したオンライン講座

参加費 : 全8回 一般16,000円/学生8,000円

受講のお申し込みはこちらから。

YouTubeにて見逃し配信あり(受講生限定、講座期間内のみ、参加者との質疑応答の時間は除く)

 ニーチェの哲学において最も重要な地位にありながら哲学的な研究の困難な永遠回帰思想。その困難さの原因の一つは、永遠回帰思想を主題的に扱った著作が――幸か不幸か―― 『ツァラトゥストラはこう言った』という預言者の言行録という形のテクストで提示されてしまったことにあります。というのも、こうしたテクストの性質上、そこに述べられている思想は、論理的な順序に則して展開されることはないからです。そのため、そこで言われようとしていた永遠回帰思想は、哲学的な方法で捉えるのは難しくなります。もちろん、読書を楽しむだけという目的であれば、テクストを埋め尽くす謎めいた比喩に引き回されたり色々と憶測を巡らすだけで、結構な気晴らしになります。しかしながら、そうした読み方によって永遠回帰思想を学問的に理解することはできません。本講座では、『ツァラトゥストラはこう言った』の各章のうち、(新幹線に喩えるなら、品川・新横浜・名古屋・京都のような)要衝となる章を選び出し、『ツァラトゥストラはこう言った』以外のニーチェが著した哲学的な著作を参照しながら注解し、永遠回帰思想の内容にできるかぎり迫っていきたいと思います

【各回の予定】

第一回: 『ツァラトゥストラはこう言った』の舞台と物語のおおまかな確認・ツァラトゥストラという人物像
第二回: 『悦ばしき知識』におけるソクラテスおよび「聖職者たち」の章
第三回: 「世界の背後を説く者」の章・「身体の軽蔑者」の章
第四回: 「千の目標と一つの目標」の章
第五回: 「自己超克」の章
第六回: 「救済」の章・「幻影と謎」の章
第七回: 「快癒に向かう者」の章・「第二の舞踏の歌」の章
第八回: 「三段の変化」の章

【テクスト】
ニーチェ,氷上英廣訳,『ツァラトゥストラはこう言った』上・下,岩波書店

【参考文献】
ニーチェ,浅井真男訳,『人間的あまりに人間的』,白水社(他の出版社の版でも構いません)
ニーチェ,氷上英廣訳,『華やぐ知恵』,白水社(他の出版社の版でも構いません)
ニーチェ,西尾幹二訳,『この人を見よ』,新潮社(他の出版社の版でも構いません)
大山真樹,『時間・円環・救済』,晃洋書房

【講師】

大山 真樹(おおやま まさき)。
龍谷大学国際社会文化研究所客員研究員。中央大学大学院文学研究科博士後期課程修了。主な関心は道徳哲学・歴史哲学・19世紀ドイツ哲学史。著書に、『時間・円環・救済 ― ニーチェの道徳批判を導きの糸にした永遠回帰思想の解明』、論文に、「『曙光』の思想圏に見出されるニーチェの哲学的課題 : 価値形成のメカニズムとしての残虐性と復讐の発現」(ショーペンハウアー研究: ニーチェ特集3 2016年)、「永遠回帰の教示における死の役割」(実存思想論集 XXXI 2016年)など。

  文学  

〈生活者〉の視点から読む『ユリシーズ』(全4回) ☆

初回日時: 2022年9月20日 (火) 19:30 - 21:00
日程  : 9月‐12月の第3火曜日(9/20、10/18、11/15、12/20)
場所  : オンライン会議アプリ「Zoom(ズーム)」 を使用したオンライン講座
参加費 : 全4回 一般8,000円/学生4,000円

​受講のお申し込みはこちらから。

YouTubeにて見逃し配信あり(受講生限定、講座期間内のみ、参加者との質疑応答の時間は除く)

 2022年に出版100年を迎えたジェイムズ・ジョイスの『ユリシーズ』(1922)は20世紀で最も偉大な文学作品の一つとして有名です。しかし、ジョイスの言語実験や神話的な技法、百科全書的な性質が強調されすぎたことから、極めて難解な作品というイメージがつきまとい、近寄りがたいものとされてきました。そこで本講義では、同書の知的な側面には注目しつつも、日常を生きる〈生活者〉の視点からこの物語を読みたいと考えています。つまり、私たちも行っているようなありふれた行為―朝ごはんをつくって食べること、猫にエサをあげること、パートナーと話したり、送られてきた手紙のメッセージを読むこと、そして排尿や排便をすることーから物語の日常生活を緻密に解釈することを試みます。
 『ユリシーズ』は長篇ですが、必ずしもすべて読み通さなければ、その面白さがわからないわけではありません。各挿話をそれぞれに特有な文体と主題をもった「短いエピソード」としても読むこともできます。そこで本講座では、主人公レオポルド・ブルームが初めて登場する第4挿話を取り上げ、日常的なテーマから同挿話を解釈していきます。デクラン・カイバードが指摘したように、『ユリシーズ』は「ふつうの人々が送っている日々の生活の現実を祝福するために書かれた」、「ふつうの生活に隠れている驚異的な要素を解き放つことで、ありふれたものが驚嘆すべきものに変わる」ことを描いた作品です。本講座を通じて、とりたててドラマティックではない私たちの日常の営為やありふれた言葉に、光り輝くような意味を見つけていただければ幸いです。

※なおこの講座では日本語訳の文庫版『ユリシーズ』(集英社訳)を基本図書として使用しますので、各自でご用意ください。原文の英語も同時に参照しますが、原文については参加者の皆様に事前に配布をします。もちろん英語が苦手でも問題ありません。『ユリシーズ』は基本的にわからないことだらけです。一緒にわからなさを共有しながら、それがわかるようになる喜びを共有できればと思います。

【各回の予定】

第一回:『ユリシーズ』第4挿話―飼い猫の世話をすること
第二回:『ユリシーズ』第4挿話―買い物に行き、朝食を作ること
第三回:『ユリシーズ』第4挿話―手紙を読みながら、パートナーと会話をすること
第四回:『ユリシーズ』第4挿話―雑誌を読みながら排便をすること

【参考図書】

1. Killen, Terence. Ulysses Unbound: A Reader’ Companion to James Joyce’s Ulysses. Wordwell, 2004.
2. Slote, Sam., et. al. Annotations to James Joyce’s Ulysses. Oxford UP, 2022.
3. 川口喬一『ユリシーズ演義』 研究社出版, 1994年
4. 結城英雄『ユリシーズの謎を歩く』 集英社, 1996年
5. 金井嘉彦・吉川信・横内一雄編著『ジョイスの挑戦―「ユリシーズ」に嵌る方法』 言叢社, 2022年

 

【講師】

南谷 奉良(みなみたに よしみ)
京都大学文学研究科准教授。専門はジェイムズ・ジョイスを中心とするモダニズム文学、その他19-20世紀初頭の文学作品に描かれる動物・ノンヒューマン、「痛み」に関する研究。最近の著書・主要論文に、『ユリシーズ』と動物の痛み―レオポルド・ブルームの優しさについて」(『ジョイスの挑戦──『ユリシーズ』に嵌る方法』(言叢社, 2022年)所収)、“The Metamorphosis of Stephen Da(e)dalus: The Plesiosaurus and the Slimy Sea,” James Joyce Quarterly, vol. 58, No. 1-2, Fall 2020-Winter 2021, pp.101-14がある。

  歴史  

中東欧・ロシアの近現代史と現在——ウクライナ問題を考える手がかりとして(全4回) ☆

初回日時: 2022年9月27日 (火) 19:30 - 21:00
日程  : 9月‐12月の第4火曜日(12月は第2火曜日)(9/27、10/25、11/22、12/13)
場所  : オンライン会議アプリ「Zoom(ズーム)」 を使用したオンライン講座
参加費 : 全4回 一般8,000円/学生4,000円

受講のお申し込みはこちらから。

Youtubeにて見逃し配信あり(受講生限定、講座期間内のみ、参加者との質疑応答の時間は除く)

 ロシアによるウクライナ侵攻を受け、中東欧・ロシアに対する注目が高まっています。ロシアがウクライナを侵攻した要因を探るなかで、プーチン大統領がロシア人とウクライナ人は一つの民族(ネイション)を構成していると主張していたり、ウクライナという国はソヴィエトによってつくられたと唱えたりしていることが話題となっています。ウクライナ侵攻を正当化するような彼の主張を全面的に受け入れるわけにはいきません。しかし、彼の主張やその受け止められ方を見ていると、この地域の諸国家がどのようにしてつくられたのか、そして、この地域のネイションとはどのようなものなのか、という問題は、現在の国際関係にも影響を及ぼす重要な論点であるということがわかります。
 本講座では、中東欧・ロシア地域の近現代史を、特にネイションと国家の成り立ちを中心に見ていきます。そして、最後の第4回では、現在の中東欧・ロシア地域において近現代史がどのように認識されているのかについても考えます。

【各回の予定】

第一回: 第一次世界大戦までの民族運動
第二回: 両大戦間期の中東欧とソヴィエト連邦
第三回: 第二次世界大戦
第四回: 中東欧・ロシアの歴史認識問題

【参考図書】

テリー・マーチン『アファーマティヴ・アクションの帝国——ソ連の民族とナショナリズム、1923年〜1939年』半谷史郎監修、荒井幸康ほか訳、明石書店、2011年。
ティモシー・スナイダー『ブラッドランド——ヒトラーとスターリン 大虐殺の真実』上下巻、布施由紀子、筑摩書房、2015年。
橋本伸也『記憶の政治——ヨーロッパの歴史認識紛争』岩波書店、2016年。
橋本伸也編著『せめぎあう中東欧・ロシアの歴史認識問題——ナチズムと社会主義の過去をめぐる葛藤』ミネルヴァ書房、2017年。

【講師】

重松尚(しげまつひさし)
東京大学大学院総合文化研究科助教。博士(学術)。
滋賀県出身。2009年、国際基督教大学教養学部卒業。2012年、東京大学大学院総合文化研究科修士課程修了。2019年、同研究科博士後期課程満期退学。ヴィルニュス大学東洋学センター助教、日本学術振興会特別研究員を経て、2019年より現職。

  芸術  

宝塚:日本モダニズムの軌跡を考える(全4回) ☆

初回日時: 2022年9月5日 (月) 19:30 - 21:00
日程  : 9月‐12月の第1月曜日(9/5、10/3、11/7、12/5)

場所  : オンライン会議アプリ「Zoom(ズーム)」 を使用したオンライン講座
参加費 : 全4回 一般8,000円/学生4,000円

​受講のお申し込みはこちらから。

YouTubeにて見逃し配信あり(受講生限定、講座期間内のみ、参加者との質疑応答の時間は除く)
【※本講座は、著作権の関係で、第4回のみ見逃し配信がありません。何卒ご了承ください。】

 本講座では、宝塚歌劇団について、演劇研究、文化研究の立場から考察します。歌劇団の100年を越える歴史は、女性の身体表現の変容の歴史でした。女性が舞台にのぼること自体が、厳しく制限されていた社会は、どのように変化していったのでしょうか。舞台芸術におけるテクノロジー、音楽、舞踊はどのように変容したのでしょうか。欧米文化としてのレビューはどのように受容されアレンジされたのでしょうか。あるいは、ミュージカルなどはどのように輸入され、アダプテーション(つくりかえ)られたのでしょうか。
 宝塚歌劇団の歩みは、大正末期から昭和期にかけて芽生えた日本のモダニズム文化の変容の歩みと並行しています。当然ながらそこには観客の感性の歴史的変容も包摂されています。
 一方では、戦争の世紀であった20世紀に、政治の力学の中で、歌劇団の関係者もまた動員され、圧力をかけられ、ある時は葛藤しある時は妥協しながら、国際化を遂げずにはいられませんでした。海外公演のはじまりにはどんな動機があったのでしょうか。戦後、GHQ占領期における歌劇団の対応はどのようなものだったのでしょうか。歴史的資料を紹介しながら分析します。コロナ禍の現在、演劇の持続可能性とその方法論について、私たちは歴史に学びたいと思います。
 また宝塚歌劇団が確立した独自の様式美、男役/娘役の表象についても、21世紀におけるその物語と技芸の変容、進化について考えていきます。

【各回の予定】

第一回:「良家の子女」が舞台に立つこと
 女性舞台人の苦闘と宝塚歌劇の誕生。その歴史的、文化的背景を考察します。
第二回:レビューの欲望
 レビューのコンセプトとは何か、レビュー誕生は近代人の感性の変容をどのように包摂しているのかを考えます。
第三回:戦禍を越えて
 100年を越える歴史におけるさまざまな危機——アジア・太平洋戦争、GHQ占領、阪神淡路大震災、そしてコロナ禍——に宝塚歌劇はどのように対処したのか。しているのか。改めて考えます。
第四回:宝塚新世紀
 21世紀の宝塚歌劇団、100周年後の宝塚歌劇団における新しい動き、男役/娘役の現在について考えます。

【参考図書】

【講師】

川崎賢子(かわさき けんこ)
博士(文学)。日本映画大学教授、立教大学特任教授を経て、現在清華大学(中国・北京)日本研究センター客員研究員など。近現代日本文学・文化、演劇、映画研究。主著に『彼等の昭和:長谷川海太郎・潾二郎・濬・四郎』白水社1994年(サントリー学芸賞受賞)、『尾崎翠 砂丘の彼方へ』岩波書店2010年、『もう一人の彼女:李香蘭/山口淑子/シャーリー・ヤマグチ』岩波書店2019年、『宝塚:変容を続ける「日本モダニズム」』岩波現代文庫2022年など。

人文学ゼミ/Online     

  哲学  

大越愛子『フェミニズム入門』を読む(全4回) 

初回日時: 2022年9月7日 (水) 19:30 - 21:00
日程  : 9月‐12月の第1水曜日(9/7、10/5、11/2、12/7)

場所  : オンライン会議アプリ「Zoom(ズーム)」 を使用したオンライン講座

参加費 : 全4回 一般8,000円/学生4,000円

受講のお申し込みはこちらから。

【※本講座は見逃し配信がありません。何卒ご了承ください。】

 フェミニズムって何? フェミニズムについて学んでみたい! と思う方におすすめの講座です。本講座は基本的に初学者向けです。フェミニズムに関心はあるけどよくわからない、という方がフェミニズムの歴史の概要と、フェミニズムが検討対象としてきた社会の構造やその問題について学ぶことができます。
 本講座では、1996年に書かれた大越愛子著『フェミニズム入門』を読みます。出版されてから26年が経ちますが、その先見性には凄まじいものがあります。ここ数年でフェミニズムのキーワードの一つとなったインターセクショナリティ(交差性)と呼ばれる複合的な差別に関する議論や、ケアの倫理、フェミニスト現象学についても紹介されています。そこで、この本を受講者のみなさんと読むことを通じて、26年前の当時の解釈と現代の状況とを比較しながらフェミニズムの現在について考えていきたいと思います

 

【各回の予定】

第一回:第二章「フェミニズムの潮流」を読む
     講義:概要の説明
     ディスカッション:様々なフェミニズムのあり方の必要性とその問題について
第二回:第三章「日本のフェミニズムの展開」を読む
     講義:概要の説明
     ディスカッション:「日本の人権のフェミニズム化」はどこまで進んだか
第三回:第四章「フェミニズムの理論的挑戦 1、フェミニズムの基本理念」を読む
     講義:概要の説明
     ディスカッション:ジェンダーとセクシュアリティ概念の解釈はどのように変化したか
第四回:第四章「フェミニズムの理論的挑戦 2、現代フェミニズムのキイワード」を読む
     講義:概要の説明
     ディスカッション:1996年と今の状況の異同について

 

【教科書】

 

【講師】

佐藤靜(さとう さやか)
大阪樟蔭女子大学 学芸学部 教員、専門は倫理学(フェミニスト倫理学/戦後日本民衆思想)

 

  歴史  

古文書ワークショップ(全4回) ☆

初回日時: 2022年9月16日 (金) 19:30 - 21:00
日程  : 9月‐12月の第3金曜日(9/16、10/21、11/18、12/16)
場所  : オンライン会議アプリ「Zoom(ズーム)」 を使用したオンライン講座
参加費 : 全4回 一般8,000円/学生4,000円

​受講のお申し込みはこちらから。

YouTubeにて見逃し配信あり(受講生限定、講座期間内のみ、参加者との質疑応答の時間は除く)
 

 破れかけた和紙、ミミズがのたうったような筆文字、漢字か ひらがなか カタカナか、そもそもどれが一文字なのかもわからない――古文書(こもんじょ)に、こんなイメージをお持ちではないでしょうか。多くの方にとって古文書は、テレビの画面越しに、あるいは博物館のガラスケースをはさんで「触れる」程度の、縁遠いものかも知れません。
 歴史を探ろうとするとき、その重要な手がかりとなる史料(歴史資料)は、しばしば古文書です。全国各地には、いまも大量に未整理の古文書が残されています。それらを読み解くことは、歴史に新たな光をあてたり、歴史像を大きく書き替えたりすることにつながる可能性をひらきます。
 この講座は、これまで古文書に触れたり、読んだりした経験をもたない方々を対象に、古文書を読むための基礎からはじめて、古文書を読んで内容を知り、それがつくられ、残された背景をさぐるなど、1点の古文書から歴史を読み解く楽しさを体感していただくことを目指しています。いわば、古文書講座の入門編です。
 今回の講座では、幕末維新期に活躍した井伊直弼や坂本龍馬・徳川慶喜などの書状を読んでいきます。最終回は、受講者のリクエストを聞きながらテキストを決めていきます。4回の講座でどんな古文書もすらすら読めるようになる、などとは申しませんが、まず古文書に親しんでみたい、ただ読むだけではなく、そこから歴史をのぞいてみたいという方々と一緒に、ゆっくり、じっくり古文書を読んでいきたいと思っています。

【各回の予定】

第一回:古文書を読むためのキホンのキ―「江戸名所図絵」を読む
第二回:幕末期に幕府を支えた人びとの書状を読む
第三回:幕末期に幕府を倒した人びとの書状を読む
第四回:江戸時代の古文書を読む(リクエストに応えて)

 

【参考図書】

鈴木直樹『近世関東の土豪と地域社会』(吉川弘文館、2019年)
児玉幸多編『漢字くずし方辞典 新装版』(東京堂書店、2019年)
油井宏子『古文書くずし字見わけかたの極意』(柏書房、2013年)
林英夫『基礎 古文書のよみかた』(柏書房、1998年)

【講師】

鈴木直樹(すずき なおき)
中央大学広報室大学史資料課嘱託職員、専門は歴史学(日本近世史・近代史/地域史・村落史)
著書に『近世関東の土豪と地域社会』(吉川弘文館、2019年)、『藩地域の環境と藩政』(共著、岩田書院、2020年)。論文に「宝永地震後の復旧・開発過程と地域社会」(小酒井大悟・渡辺尚志編『近世村の生活史』清文堂出版、2020年)など。

  語学  

初級古典ギリシア語1(全8回)  ※月2回開講 

初回日時: 2022年9月8日 (木) 19:30 - 21:00
日程  : 9月‐12月の第2・第4木曜日(9/8、9/22、10/13、10/27、11/10、11/24、12/8、12/22)

場所  : オンライン会議アプリ「Zoom(ズーム)」 を使用したオンライン講座
参加費 : 全8回 一般16,000円/学生8,000円

受講のお申し込みはこちらから。

YouTubeにて見逃し配信あり(受講生限定、講座期間内のみ、参加者との質疑応答の時間は除く)

「古典ギリシア語」と聞いて、何を思い浮かべるでしょうか? エーゲ海に屹立する半島や島々の古代都市・遺跡とそこで暮らしていただろう人々、プラトンやアリストテレスなど哲学者が議論する姿――「アテナイの学堂」のように!――、生き生きとした神話や英雄叙事詩、朱と黒の二色調で描かれた壺絵に添えられた文字……
 あるいはphysics(物理学)やpsychology(心理学)のような現代にまで生きている科学用語を思い浮かべる方もおられるかもしれません。この言葉が欧米で古典語としてたいへん尊重されてきたことは、改めて紹介するまでもないでしょう。かつてこの言葉が生きていたころ、多くの方が思い浮かべるような「古代ギリシア」の文明が、もちろんそれでもって多彩な文学・文献を生み出しました。しかしそれにはとどまりません。ヘレニズム時代、古典のそれに比べて比較的簡単なギリシア語「コイネー」が普及した後も、ローマ時代に「古典ギリシア語」という表現に富む文学言語を復活させようという試みがありました。この流れはキリスト教化の時代を通じて所謂ビザンツ時代にまで続いており、こんにち私たちが古典ギリシア語を「古典」として読めるのも、この連綿と続く伝統によるものが大きいと言えます。近代ヨーロッパは独自の仕方で尊敬と関心をもってこの伝統の継承者のひとつとなりました。
 かくも豊富な伝統をもつ古典ギリシア語は、その語彙、語法、表現その他いずれに関しても驚くほど豊かな相貌を持っています。そしてそれが同時に、学習するのが難しい、というイメージの一因にもなっていることでしょう。とはいえ、とっかかりと勘所さえ押さえれば、この言葉をものにすることは、決して不可能ではないばかりか、その言葉と文化が豊かであればあるだけ豊穣な実りを人生にもたらしてくれるはずです。この講座では、その「とっかかりと勘所」―― 歴史とアルファベット、基本的な文法事項――を紹介します。「古典ギリシア語に触れてみる」を受講いただいた方は、文法を復習しつつもう少し詳しく勉強していきましょう。 もちろん新規受講者も歓迎です。 みなさんも古典ギリシア語の世界に足を踏み入れてみませんか。

※本講座は、博士による人文知提供のプラットフォーム「クェス(QeS: Quid est Sapientia)」の協力講座です。

 

【各回の予定】
第一回: 造形美術に現れるギリシア語文
 ウォーミングアップを兼ねて、造形美術とギリシア語文との関係を歴史的に概観し、ついでアルファベットを簡単に紹介します。
第二回:アルファベットと色々な記号
 改めてアルファ、デルタ、オミクロンなどのギリシア語アルファベットを学習し、単語を正確に発音するためのいろいろな記号を併せて学びます。
第三回:名詞①②
 名詞のうち、第一・第二変化、名詞と、それが文章のなかで果たす役目に応じて語尾を変化させる仕方(格変化)を学びます。
第四回: 名詞③
 第三変化名詞を学習します。難関ですが頑張りましょう。
第五回: 冠詞と形容詞
 定冠詞の様々な機能を学習し、それとの関係が深い形容詞についても学習します。
第六回: 動詞の現在形とその種類
 簡単な動詞と、「誰がそれをするか」によって語尾を変化させる仕方(活用)を学びます。
第七回: 前置詞・接続詞・否定
 前置詞・接続詞・否定を学習します。点と点をつなぐ関節が一気にそろいます。
第八回: 人称代名詞
 「私」「きみ」などの人称代名詞を学習します。最後に簡単な文章を読んでみましょう。
 

【参考図書】
河島思朗『ギリシア語練習プリント』
田中美知太郎・松平千秋『ギリシア語入門』
ジャクリーヌ・ド・ロミィ『ギリシア文学概説』
柳沼重剛『ギリシア・ローマ名言集』
 

【講師】
砂田恭佑(すなだ きょうすけ)
1994年生まれ。東京大学大学院総合文化研究科で修士(学術)を取得、現在は同博士課程に在籍、2022年度は大東文化大学でギリシア語文法、西洋文化史、キリスト教史などを担当。専門はギリシア教父や古代末期文献、特に「アンティオキア派」と呼ばれる人々の研究。

 

 

  語学  

初級ラテン語1(全8回)  ※月2回開講 

初回日時: 2022年9月7日 (水) 19:30 - 21:00
日程  : 9月‐12月の第1・第3水曜日(11月は第5水曜日もあり、12月は第2水曜日)(9/7、9/21、10/5、10/19、11/2、11/16、11/30、12/14)

場所  : オンライン会議アプリ「Zoom(ズーム)」 を使用したオンライン講座
参加費 : 全8回 一般16,000円/学生8,000円

​受講のお申し込みはこちらから。

YouTubeにて見逃し配信あり(受講生限定、講座期間内のみ、参加者との質疑応答の時間は除く)

 古代ローマ帝国で公用語として使われるようになったラテン語は、キリスト教(カトリック)の公用語として、さらには近代に至るまで学術、文学の領域で主要な言語として西洋世界を支え続けてきました。午前・午後をあらわすAMやPM、ウィルスやアドリブなど、私たちの身の回りでは少なからぬラテン語が使われていますし、直接の子孫ではない英語にもラテン語由来の言葉が数多くあります。もちろんその影響は単語レベルに留まりません。ラテン語で書かれた無数の著作が2千年以上にわたって読まれ続けることで西洋世界の文化的基盤が作り上げられてきたのであり、様々な形でそれは現代日本の私たちの文化や生活にまでも流入し、影響を与え続けています。ラテン語を学ぶことは単にイタリア語やフランス語の直接の先祖である言語を学ぶことにとどまらず、私たちの間に深く根付いた西洋世界の言語、文化、思想についてより深く理解する一助となるでしょう。
 本講座では、簡単なラテン語の文章を理解出来るようになることを目指して基礎文法を学んでいきます。おおむね指定の教科書に沿って進めていきますが、今期で全体の三分の一程度学ぶことになりますので、全部で三期の受講で一通りの文法事項を学ぶことが出来ることになります。
 ラテン語は難しい言語というイメージがありますが、文法がかっちりしているため、構造がわかればむしろパズルのようにわかりやすい言語です。課題による復習も行いつつ(必修ではありません)、理解度を確認しながら先に進んでいきますので、分かることを楽しみながら学んでいきましょう。


※本講座は、博士による人文知提供のプラットフォーム「クェス(QeS: Quid est Sapientia)」の協力講座です。

【各回の予定】

第一回:ラテン語の歴史と発音
 ラテン語がどのような言語なのか、歴史的なことも踏まえて概要を学びます。また発音についても学び、実際に発音してみます。
第二回:動詞の活用(現在)
 動詞の機能と現在形の活用について学びます。
第三回:第一、第二変化名詞
 第一変化名詞と第二変化名詞の格変化とその用法について学びます。
第四回:第一・第二変化形容詞
 第一・第二変化形容詞の格変化とその用法について学びます。
第五回: 不定詞、前置詞、不規則変化動詞
 不定詞、前置詞及び不規則変化動詞について学びます。
第六回:動詞の活用(未完了過去、未来)
 動詞の活用(未完了過去と未来)について、その活用及び用法について学びます。
第七回:第三変化名詞
 第三変化名詞の格変化について学びます。
第八回:第三変化形容詞
 第三変化形容詞の格変化について学びます。

【参考図書】

受講者の方に購入していただきたい使用教科書は以下の通りです。
河島思朗『基本から学ぶラテン語』ナツメ社、2016年。

なお、独習用としては以下のものなどがあります。
山下太郎『しっかり学ぶ初級ラテン語』ベレ出版、2013年。

詳しい文法書としては以下のものがおすすめです。
松平千秋、国原吉之助『新ラテン文法』東洋出版、1990年。

辞書を購入する必要はありませんが、以下のものが基本的な辞書となります。
水谷智洋(編)『羅和辞典<改訂版>』研究社、2009年。

 

【講師】

村上 寛(むらかみ ひろし)

博士(文学)。立教大学、明治学院大学、上智大学非常勤講師(ラテン語科目)。専門は西洋中世思想。(単著)『鏡・意志・魂―ポレートと呼ばれるマルグリットとその思想』晃洋書房、2018年。(共著)「マルグリット・ポレートの神化思想―源流と波紋、水と火の比喩を中心に」(田島照久、阿部善彦編著『テオーシス―東方・西方教会における人間神化思想の伝統』教友社、2018年)、他。クェス(QeS: Quid est Sapientia)代表。

  語学  

ラテン語を読んでみる7(全8回) ☆☆ ※月2回開講 

初回日時: 2022年9月14日 (水) 19:30 - 21:00
日程  : 9月‐12月の第2・第4水曜日(12月は第1・第3水曜日)(9/14、9/28、10/12、10/26、11/9、11/23、12/7、12/21)

場所  : オンライン会議アプリ「Zoom(ズーム)」 を使用したオンライン講座
参加費 : 全8回 一般16,000円/学生8,000円

​受講のお申し込みはこちらから。

YouTubeにて見逃し配信あり(受講生限定、講座期間内のみ、参加者との質疑応答の時間は除く)

 本講座では、初学者向けに編纂されたローマの風俗についての文章、タキトゥス『年代記』、ヤコブス・デ・ウォラギネ『黄金伝説』を読んでいきます。
 ラテン語は、現在母語として日常的に使用している民族がいないという意味では死語であり、直接何かの役に立つ言語ではありません。しかし、2000年以上にわたって書かれ、読まれてきたラテン語の原典に直接アクセス出来るようになるということは、時代を超えて西洋の思想や文化の源泉に直接触れることが出来るようになるということであり、その根底に直接アプローチ出来るようになるということではないでしょうか。
 受講にあたっては初級文法を一通り学んでいることが望ましくはありますが、一文ずつ文法解析しながら丁寧に読んでいきますので、名詞および形容詞の格変化、動詞の活用についておおむね理解出来ている方であれば問題なく受講可能です。予めテキストをお配りしますので、事前に語彙や用法について調べておいていただき、授業では一語一語確認しながら分からなかった単語や文法事項について解説していきます。事前に調べておいていただくことは必須ではありませんので、可能な範囲で単語を調べたり訳文を考えたりしながら「ラテン語を読んでみる」ことを楽しんでみてください。


※本講座は「ラテン語を読んでみる7」となっていますが、内容的に連続しているわけではありませんので、初めての方でも問題なく受講いただけます。
※本講座は、博士による人文知提供のプラットフォーム「クェス(QeS: Quid est Sapientia)」の協力講座です。

 

【各回の予定】
第一回:初学者用のラテン語を読んでみる(1)
 Cambridge Latin Courseより。
第二回:初学者用のラテン語を読んでみる(2)
 Cambridge Latin Courseより。
第三回:初学者用のラテン語を読んでみる(3)
 Cambridge Latin Courseより。
第四回:歴史書を読んでみる(1)
 タキトゥス『年代記』より。
第五回:歴史書を読んでみる(2)
 タキトゥス『年代記』より。
第六回: 歴史書を読んでみる(3)
 タキトゥス『年代記』より。
第七回:中世の伝説を読んでみる(1)
 ヤコブス・デ・ウォラギネ『黄金伝説』より。
第八回:中世の伝説を読んでみる(2)
 ヤコブス・デ・ウォラギネ『黄金伝説』より。

 

【参考図書】
水谷智洋(編)『羅和辞典<改訂版>』研究社、2009年
松平千秋、国原吉之助『新ラテン文法』東洋出版、1990年
河島思朗『基本から学ぶラテン語』ナツメ社、2016年
山下太郎『しっかり学ぶ初級ラテン語』ベレ出版、2013年


【講師】

村上 寛(むらかみ ひろし)
博士(文学)。立教大学、明治学院大学、上智大学非常勤講師(ラテン語科目)。専門は西洋中世思想。(単著)『鏡・意志・魂―ポレートと呼ばれるマルグリットとその思想』晃洋書房、2018年。(共著)「マルグリット・ポレートの神化思想―源流と波紋、水と火の比喩を中心に」(田島照久、阿部善彦編著『テオーシス―東方・西方教会における人間神化思想の伝統』教友社、2018年)、他。クェス(QeS: Quid est Sapientia)代表。

  文学  

『源氏物語』を読む(全8回) ☆☆ ※月2回開講  

初回日時: 2022年9月1日 (木) 19:30 - 21:00
日程  : 9月‐12月の第1・第3木曜日(9月は第5木曜日もあり、11月は第3木曜日のみ)(9/1、9/15、9/29、10/6、10/20、11/17、12/1、12/15)
場所  : オンライン会議アプリ「Zoom(ズーム)」 を使用したオンライン講座
参加費 : 全8回 一般16,000円/学生8,000円

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YouTubeにて見逃し配信あり(受講生限定、講座期間内のみ、参加者との質疑応答の時間は除く)

 日本文学のなかで最も有名な作品のひとつである『源氏物語』ですが、実際に原文で読んだことのある人は多くないでしょう。本講座では、いくつかの注釈書を比較し参考にしながら、『源氏物語』宇治十帖を原文で少しずつ読んでいきます。学校の授業や試験に出た経験から、難しく堅苦しい、間違ってはいけないものというイメージをお持ちの方もいるかもしれません。ですが少しずつ気になる部分を見つけて読んでいけば、決して難しいものではありません。高校の古典に苦手意識を持っていた方でも大丈夫です。
 宇治十帖は、主人公であった光源氏が亡くなった後の、宇治を舞台とする物語です。これまでの続きを読んでいきますが、適宜あらすじについても説明しますので、初めての方でも安心してご参加になれます。今回は、総角巻の終盤、ヒロインの一人である宇治の大君が亡くなった後から読み始めます。
 宇治十帖においては、真剣な主人公とアイロニカルな語りの落差がときに滑稽さを産み出します。華やかな恋物語のイメージとはまた違った、『源氏物語』の魅力を見つけることができるでしょう。

※こちらの講座は、2022年4月期講座「『源氏物語』を読む」と連続する内容となっておりますが、今期からの受講も可能です。

【使用テキスト】

特に指定はしませんが、何らかのテキストをご準備いただけますと助かります。
文庫であれば、角川文庫(8巻以降)岩波文庫(7巻以降)があります。

【講師】

西原志保(にしはら しほ)共愛学園前橋国際大学、大東文化大学ほか非常勤講師。博士(文学)。ジェンダー論、動物/人形/植物表象などの観点から日本文学作品を考察する。著書に『『源氏物語』女三の宮の〈内面〉』(新典社新書、2017年)。

※講師インタビューはこちら 

  哲学  

ヘーゲル『精神現象学』を読む(全8回) ☆☆☆ ※月2回開講

初回日時: 2022年9月12日 (月) 19:30 - 21:00
日程  : 9月‐12月の第2・第4月曜日(10月は第2・第4・第5月曜日、12月は第2月曜日のみ)
     (9/12、9/26、10/10、10/24、10/31、11/14、11/28、12/12)
場所  : オンライン会議アプリ「Zoom(ズーム)」 を使用したオンライン講座
参加費 : 全8回 一般16,000円/学生8,000円

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 この人文学ゼミは、継続して近代ドイツの哲学者ヘーゲルの主著『精神現象学』を日本語で読み進めています。テキストを実際に読みながら、担当講師による解説と、受講者相互の議論を通じて、理解を深めていきます。『精神現象学』は哲学史上の重要著作でありながらも、とくに難解なことで知られていますが、専門家の手引きがあれば、予備知識のない読者でも十分読み進めていくことができます。
 今期は「精神章」の「B. 自分から疎外された精神—陶冶」の「I. 自分から疎外された精神の世界」から読み始めます。ここでヘーゲルは、古代的な共同体(実体)が解体したあとの近世社会をアンシャンレジーム期のフランス社会を念頭に置きながら概念的に再構成していきます。それにあたって、ヘーゲルは当時ゲーテによってドイツ語に翻訳されたばかりだった、ディドロ『ラモーの甥』を参照しながら、分裂した近代の人間性を描いていきます。
 最初の回にこれまでの概要の解説、加えて適宜哲学史の解説を行いますので、初めての方も安心して受講していただけます。

【使用テキスト】

『精神現象学』の翻訳は、講師による日本語訳を配布します。
既存の翻訳を手元に置いておきたい方は以下のものが比較的安価で定評があります。
樫山欽四郎訳、『精神現象学 上』、平凡社ライブラリー、1997年。
熊野純彦訳、 『精神現象学 上』、ちくま学芸文庫、2018年。
また、以下のものは古くて手に入りづらいかもしれませんが詳細な解説があり参考になります。
金子武蔵訳『精神の現象学 下(ヘーゲル全集5)』、岩波書店、 1979年。

【参考文献】
ディドロ『ラモーの甥』、本田喜代治・平岡昇訳、岩波文庫、1964年。

【講師】

大河内 泰樹(おおこうち たいじゅ)

京都大学大学院文学研究科教授。国立人文研究所代表。
著書に、『資本主義と危機』(共著、岩波書店、2021年)『政治において正しいとはどういうことか』(共著、勁草書房、2019年)、訳書にミヒャエル・クヴァンテ『カール・マルクスの哲学』(共訳、リベルタス出版、2019年)ジュディス・バトラー『欲望の主体 二〇世紀フランスにおけるポスト・ヘーゲル主義』(共訳、堀之内出版、2019年)など。

  哲学  

タイトル:ウィトゲンシュタイン『哲学探究』をあなたの自叙伝として読む(全8回) ☆☆☆ ※月2回開講

初回日時: 2022年9月5日 (月) 19:30 - 21:00
日程  : 9月‐12月の第1・第3月曜日(9/5、9/19、10/3、10/17、11/7、11/21、12/5、12/19)

場所  : オンライン会議アプリ「Zoom(ズーム)」 を使用したオンライン講座
参加費 : 全8回 一般16,000円/学生8,000円

​受講のお申し込みはこちらから。

YouTubeにて見逃し配信あり(受講生限定、講座期間内のみ、参加者との質疑応答の時間は除く)

 私たちは生涯に何冊の本を読むでしょうか。そのうち何冊が、あなた自身のことを理解するよう仕向けるのでしょうか。読み手の疑問を封殺するのではなく読み手に当惑を語らせるテクストはどれほどあり、そのように仕組まれたテクストをあなたが見つける可能性はどれくらいでしょうか。『哲学探究』(以下、『探究』と呼びます)の序文には次のようにあります。「他の人々が私の書物によって自分で考えずに済ませることを私は望まない。私が望むのは、それが可能だとして、人が自身で思考するよう私の書物が励ますことである。」もしあなたが自身で何ごとかを語ることができると思う主体であるとして、そして、それをどのようにやりおおせてきたかを知りたいのであれば、ウィトゲンシュタインの『探究』は、あなたにとって替えのきかない一冊になります。
 2022年9月期では、『探究』26節以降を読む予定です。26節から64節までは、「第二章「名」と「単純なもの」—『論考』形而上学の中心概念の批判的吟味」(p. 40)という見出しが訳者によってつけられています。見出しの通り、これらの箇所では、20代のウィトゲンシュタインの著作『論理哲学論考』(以下、『論考』と呼ぶ)のアイディアの捉え直しが行われます。その捉え直しとは、『論考』における、命題を構成する最も単純な記号である「名」という想定が、何に実体を見てとることで・どんなプロセスを通じて成立させられていたかを吟味することです。捉え直しは、しばしば否定的なトーンで行われますが、内実としては、『論考』のアイディアの拒絶とは言えません。むしろ、『論考』で暗黙裡に行われていたことをつまびらかにし、読み手という主体にその活用を委ねているのです。
 ゼミでは、講師が用意したレジュメに沿って、『探究』の邦訳を、一節ずつ読み進めていきます。邦訳とドイツ語の原文とを比較することで細かいニュアンスを確認することがありますが、ドイツ語ができなくても大丈夫です。そのほか、『探究』の英訳や、前期ウィトゲンシュタインの著作である『論考』、ウィトゲンシュタインと関係の深い数学者・哲学者であるフレーゲのテクストを参照しつつ進めます。参加者の方はいつでも発言できますが、ゼミの最後にまとまった質問時間を設けます。
 本講座では、『探究』を意味あることとして取り扱う主体としてのあなたが、どのようなしぐさでこのテクストを取り扱おうとしているかを最も重要なこととして考えます。テクストにあなたが何を見たかについて語ろうとするとき、あなたの言葉はもつれ、当惑で一杯かもしれません。しかしそのもつれと当惑が、あなたがあなた自身をどう理解しようとするかということです。そうした乱れを巧妙に隠してしまわないように、私はみなさんのガイドとなりたいと思います。

 

【各回の予定】

第一回:2022年4月期のおさらい、「第二章「名」と「単純なもの」—『論考』形而上学の中心概念の批判的吟味」(p. 40)の導入
第二回:(a)「名」という概念について、(a1)「命名」と「直示的定義」(26-33)
第三回:(a)「名」という概念について、(a1)「命名」と「直示的定義」(26-33)
第四回:(a)「名」という概念について、(a1)「命名」と「直示的定義」(26-33)
第五回:(a)「名」という概念について、(a2)「意味する」という概念(34-37)
第六回:(a)「名」という概念について、(a3)「名」とその「意味」の多様性(38-45)
第七回:(a)「名」という概念について、(a3)「名」とその「意味」の多様性(38-45)
第八回:(a)「名」という概念について、(a3)「名」とその「意味」の多様性(38-45)

 

【使用テキスト】

L. ウィトゲンシュタイン、『哲学探究』、鬼界彰夫訳、講談社、2020年。

 

【参考文献】

Wittgenstein, Ludwig: Philosophische Untersuchungen = Philosophical Investigations, G. E. M. Anscombe, P.M.S. Hacker and J. Schulte (trans.), Rev. 4th ed., Wiley-Blackwell, 2009.

L. ウィトゲンシュタイン、『哲学探究』、丘沢静也訳、岩波書店、2013年。
——、『ウィトゲンシュタイン『哲学的探求』』、黒崎宏解説・訳、第一部第二部、産業図書、1994-5年。
——、『ウィトゲンシュタイン全集8:哲学探究』、藤本隆志訳、大修館書店、1976年。

 

本講座では、鬼界彰夫訳を教科書として採用し、必要に応じて他の邦訳や原文、英訳を紹介します。ドイツ語が読めない方でも参加することができます。

【講師】
槇野 沙央理(まきの さおり)

大正大学等、非常勤講師。専門は、ウィトゲンシュタインの哲学。
論文に、「「対概念をどう改造すればテクストに対して能動的となれるか——「治療的な哲学」と「構築的な哲学」」(『アスペクト・概念形成研究』、アスペクト・概念形成研究会、第1号、pp. 1-24、2022年1月)、「比較対象としての後期ウィトゲンシュタイン——ホワイトヘッドとは異なる言語の創造性へ」(『プロセス思想』、日本ホワイトヘッド・プロセス学会、第21号、pp. 34-52、2022年1月)、「『論考』を意味あることとして取り扱おうとした主体は本当にあなた自身であるか」、『現代思想:2022年1月臨時増刊号 総特集=ウィトゲンシュタイン -『論理哲学論考』100年-』、2021年12月、pp. 91-104。博士論文に、『自己明晰化としてのウィトゲンシュタイン哲学——治療的解釈を超えて』(千葉大学大学院人文社会科学研究科、2020年)。
哲学研究に従事する女性のためのネットワーキンググループWOMEN: WOVENのオーガナイザーを務めています(2020年から)。また、2023年に国際ワークショップ“Wittgenstein and Traditional German Philosophy”を開催予定です。
ホームページ:https://saorimakino.weebly.com