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★   入門

★★  初級〜中級

★★★ 中級〜上級

※あくまで講座の目安としてお考えください。

2017年9月期開講講座

◇講座によって金額、会場が異なる場合がございます。

​◆定員は原則として人文学講座20名、人文学ゼミ10名です。

​◇受講申込み〆切りは、各講座の開講日一週間前です。申し込み期間延長中(開講日前日迄)

◆キャンセル待ちをご希望の場合も、受講申込みページより必要事項をお送りください。

人文学

  哲学  

イスラーム思想文化入門 ★(受講料8,000円/1期)

第2水曜日(9/13, 10/11, 11/8, 12/13) 19:00〜20:30 /会場:リトマス

現在、イスラームと聞くと、偶像破壊やテロと結びつける人が多いかもしれません。しかし、それは歴史的事実と異なる認識でしょう。実際、多くの信者にとって、暴力はむしろイスラームに反するものとされます。そもそも聖典クルアーン(コーラン)は、この世界を神の愛の現れとして、人はその愛を実践すべきとのべます。こうした価値観はどのように展開されてきたのでしょうか。本講座では、イスラームの思想家や科学者たちの言葉も紹介しながら、世界と人とをめぐる世界観を辿りましょう。 

 

【授業予定】

第1回 イスラームにおける神の愛 
     クルアーンの解釈、神学者ガザーリー、修行者・神秘家の思想を中心に

第2回 イスラームにおける知のかたち 

            無神論的科学者ラーズィー、万学の王者アヴィセンナなど、科学と神学との関係を中心に 

第3回 イスラームにおける法・倫理・理性 

            哲学者アヴェロエスと思想家イブン=アラビーのコーラン解釈を中心に 

第4回 イスラームの寛容と多様性 

            哲学、文学、書画、建築に見る寛容の思考実践を中心に 

 

講師

小野純一(おの じゅんいち) 

専門はイスラーム思想・哲学。専修大学・東洋大学・学習院大学兼任講師。European Network for Japanese Philosophy 編集委員。「イブン=アラビーにおける非概念的認識と存在化の香り」『専修人文論集』第100号、2017年、251-274頁。「収縮をめぐるシェリングとイブン=アラビー」『国際哲学研究』別冊5(哲学と宗教―シェリング Weltalter を基盤として)、2014年、101-121頁。 

アーレントからの政治哲学入門【サテライト講座】 ★(受講料8,000円/1期)満員御礼・キャンセル待ち

第3火曜日(12月のみ第2火曜日)(9/19, 10/17, 11/21, 12/12) 19:15〜20:45 /会場:アクアミーティングスペース渋谷

ハンナ・アーレントの主要著作を通じて、政治理論・政治哲学への導入的な授業を提供することが本講座の目的です。マイケル・サンデルのハーバード白熱教室などによって政治哲学にたいする社会的関心は高まったものの、政治哲学という領域のつかみどころのなさもしばしば指摘されます。そこでこの講座では、ヨーロッパの歴史と思想史を大づかみにとらえる視点を養うことに主眼をおきます。歴史の大きな流れと結びつけながら学んでいくことで、政治哲学という学問が応答しようとしていたリアルな社会状況をより生き生きと理解することができるからです。こうした角度から政治哲学にアプローチするうえで、アーレントの著作はうってつけといえます。ユダヤ系ドイツ人としてナチス政権下の母国からアメリカに逃れ、全体主義の問題を考え抜いた彼女のすがたは、近年映画でも描かれ話題となりました。しかし同時に、20世紀に臨界点に達した近代文明を、その背景にある広大な思想伝統のなかに位置づけてとらえ返そうとした点も、アーレントの思索に特徴的なところです。本講座では、彼女のいくつかの主著を紐解きながら、西洋世界が古代ギリシア・ローマの知的遺産とどのように格闘しみずからの文化を形づくってきたのかを考えてみたいと思います。そのことは、現代社会のアクチュアルな問題をより根源的・哲学的なしかたで再考することにもつながっていくはずです。 

【授業予定】

第1回 『人間の条件』と『革命について』概観

第2回 アーレントにおけるルネサンス(文芸復興)と共和主義思想

第3回 アーレントとケンブリッジ学派――ヨーロッパ文明史の基本的な見取り図

第4回 アーレントとレオ・シュトラウス――現代世界における古典の意味

講師

上野大樹(うえの ひろき) 

一橋大学社会学研究科研究員。専門は政治思想史(特に18世紀啓蒙における政治経済学の展開)。一橋大学、立正大学、青山学院大学などで講義やゼミをおこなう。 
論文に「アダム・スミスと政治哲学の革命」(『人文学報』第107号、京都大学人文科学研究所)等。共著に、大澤真幸編『3・11後の思想家25』(左右社)、『現代社会学事典』(弘文堂)、田中秀夫編『野蛮と啓蒙―経済思想史からの接近』(京都大学出版会)。 

 

 

  文学  

『源氏物語』を読む――女三の宮のことばから ★★(受講料8,000円/1期) 

第3金曜日(9/15, 10/20, 11/17, 12/15) 19:00〜20:30 /会場:リトマス

本講座では、平安中期の長編物語である『源氏物語』を、登場人物の一人である、女三の宮のことばから読み解きます。『源氏物語』は平安時代の物語の中でもっとも文学的な達成度の高いものとされ、また1000年以上も様々なかたちで読み継がれてきた、日本文学の中でもっとも著名な作品のひとつと言っていいでしょう。 
ところで、『源氏物語』にどのようなイメージをお持ちでしょうか。はなやかな恋愛の描かれる王朝絵巻をイメージされる方、学校で「もののあはれ」の文学と習った方も多いでしょう。けれども、恋愛や「もののあはれ」に対する無理解や嫌悪感を示す登場人物もいるのです。本講座では、そのような登場人物を中心に、『源氏物語』を読み解きます。そうすることで、今まで知らなかった『源氏物語』の世界を、探索してみましょう。 
『源氏物語』は主人公源氏が栄華に到達するまでを第一部、表面上の栄華とは裏腹に個々の登場人物がさまざまな苦悩を抱える第二部、源氏死後の世界を描く第三部に分けられますが、本講座で中心に扱う女三の宮は、その第二部に登場する重要な人物です。源氏の兄である朱雀院の第三皇女で、源氏のもとに降嫁し、『源氏物語』世界の変容を導いたとされるものの「内面」は描かれない、と言われます。けれども女三の宮の感情は、描かれないわけではありません。それが、恋愛への無理解や嫌悪感なのです。 

【授業予定】

第1回 『源氏物語』概要。女三の宮の「内面」の物語

第2回 女三の宮の「内面」は描かれない?

第3回 『源氏物語』は〈女〉の物語か?―恋愛忌避の女君たち

第4回 『源氏物語』と現代文学 

 

講師

西原志保(にしはら しほ) 

大学共同利用機関法人人間文化研究機構国立国語研究所研究員 。

1980年生まれ。名古屋大学大学院博士課程後期課程修了。博士(文学)。
専門は『源氏物語』を中心とした日本文学。 
「女三宮のことば―六条院の空間と時間」(『日本文学』2008年12月)、「『源氏物語』女三宮の自己意識」(『日本文学』2009年9月)、「書き換えられる〈父〉―森茉莉『甘い蜜の部屋』と「しんかき」」(『名古屋大学国語国文学』106号、2013年11月)など。 

ジョージ・オーウェルとその時代 ★(受講料8,000円/1期)満員御礼・キャンセル待ち

第4火曜日 (9/26, 10/24, 11/28, 12/26) 19:00〜20:30  /会場:リトマス

 今年のはじめにドナルド・トランプがアメリカ大統領に就任して、ある本が爆発的に売れました。ジョージ・オーウェルの『1984年』(1949年)です。この小説は、独裁者の「ビッグ・ブラザー」が支配する全体主義的な近未来イギリスを描くディストピア小説で、人びとは新大統領トランプと、このビッグ・ブラザーを重ねたのです。本講義ではその『1984年』から出発して、そこから時代をさかのぼって1930年代のオーウェル文学に分け入っていきます。貧困と政治の時代であった30年代のルポルタージュ的作品と、下層中産階級という独特の階級を描いた小説作品を読みます。オーウェルを知ることは、この時代のイギリス社会を知ることにもなるでしょう。以下、作品をたくさん挙げていますが、毎回その中からできれば一冊は読んできてください。

【授業予定】

第1回 ジョージ・オーウェルの時代と人生 

第2回 ディストピアと冷戦──『1984年』と『動物農場』 

第3回 ルポルタージュの時代──『パリ・ロンドン放浪記』、『ウィガン波止場への道』と『カタロニア賛歌』 

第4回 下層中産階級の悲哀──『葉蘭を窓辺に飾れ』と『空気をもとめて』

 

講師

河野真太郎(こうの しんたろう) 

一橋大学大学院商学研究科准教授。専門は20世紀イギリスの文化と社会および新自由主義の文化。著書に『戦う姫、働く少女』(堀之内出版)、編著に『終わらないフェミニズム──「働く」女たちの言葉と欲望』(研究社)、訳書にトニー・ジャット『20世紀を考える』(みすず書房)など。

 

  歴史  

「多摩」とはどのような地域なのか~歴史から問う~ ★(受講料8,000円/1期)

第1月曜日(9/4, 10/2, 11/6, 12/4) 19:00〜20:30 /会場:リトマス

「多摩」という響きに、みなさんは何を思い浮かべるでしょうか。多摩市・気象情報・車のナンバーなど、いろいろとありそうです。では、これに「地域」がつくとどうでしょう。23区と島嶼を除いた東京都の市町村部をイメージする方が多いのではないでしょうか。でも、この「多摩」地域イメージは、1000年を超える多摩の歴史のなかで、わずかこの100年ほどのものでしかありません。そして、このイメージがつくられる背景には、コレラと選挙と生活圏の問題が深く関わっていました。現行の行政区画ではないにもかかわらず、なぜかわたしたちのなかに一定のイメージを造影する「多摩」地域。この不思議な存在感は一体どこからくるのか、そもそも「多摩」とはどのような地域なのか――こうした問いに、歴史的な視点から迫ります。「多摩」の歩んできた道を、一緒にたどってみませんか。 

【授業予定】

第1回 はじまりの武蔵、そして神奈川(~1880年代) 

第2回 あるべき「多摩」を求めて(1880~1910年代) 

第3回 押し寄せる「東京」(1910~50年代)

第4回 三多摩=格差というイメージのなかで(1950年代~) 

講師

石居人也(いしい ひとなり) 一橋大学大学院社会学研究科教授。 歴史学(日本近代史)。 

著書に『歴史を学ぶ人々のために―現在をどう生きるか―』(共著、岩波書店、2017年)、『歴史を社会に活かす―楽しむ・学ぶ・伝える・観る―』(共著、東京大学出版会、2017年)、『第4次 現代歴史学の成果と課題 第3巻 歴史実践の現在』(共著、績文堂出版、2017年)等

 

 

戦国時代とは何か? ★(受講料8,000円/1期)

第2土曜日(12月のみ第3土曜日)/会場:リトマス

9/9 (13:15〜14:45), 10/14 (13:15〜14:45), 11/11(16:30〜18:00), 12/16(13:15〜14:45) 

※11月11日のみ時間が異なっております。ご注意ください。 

日本の戦国時代(15世紀中頃~17世紀初め)は、群雄が天下を目指して争い合うイメージで人気の高い時代です。それでは、どうして全国で争乱が展開し、新しい天下(徳川政権)が生まれることになったのでしょうか?合戦だけでなく、人びとが生活する地域社会や東アジア世界の変化を視野に入れて、考えてみたいと思います。 

 

【授業予定】

第1回 日本中世の自力救済社会と国家

第2回 紛争の深刻化と喧嘩両成敗法の成立

第3回 倭寇的世界の出現と新たな国際秩序の形成

第4回 争乱展開の諸段階――室町幕府の衰退から統一政権の確立へ 

講師

池享 (いけ すすむ) 

1950年新潟市生まれ、現在一橋大学名誉教授。 
本講座に関する主な著書 
 日本の時代史13『天下統一と朝鮮侵略』吉川弘文館、2003年 
 日本中世の歴史6『戦国大名と一揆』吉川弘文館、2009年 
 『日本中近世移行論』同成社、2010年 
 動乱の東国史7『東国の戦国争乱と織豊権力』吉川弘文館、2012年

人文学ゼミ

​  語学  

初級ラテン語 ★(受講料12,000円/1期)※定員20名・月2回の開講

第1・第3木曜日(9/7, 9/21, 10/5, 10/19, 11/2, 11/16, 12/7, 12/21)  19:00〜20:30/会場:リトマス

古代ローマ帝国で公用語として使われるようになったラテン語は、キリスト教の公用語として、さらには近代に至るまで学術、文学の領域で主要な言語として西洋世界を支え続けてきました。AMやPM、ウィルスやアドリブなど、私たちの身の回りでは少なからぬラテン語が使われていますが、そのことはつまり私たちの生活に西洋世界の文化が深く浸透しているということを意味します。ラテン語を学ぶことはそのような西洋世界の言語、文化、思想についてより深く理解する一助となるでしょう。本講座ではラテン語を読み、理解することが出来るようになることを目指して、実際に問題を解きながら、指定の文法書をゆっくりと学んでいきます。 

【授業予定】

第1回 動詞の活用(現在)と第一、第二変化名詞:動詞の機能と現在形の活用、第一、第二変化名詞の格変化について学びます。 

第2回 第一、第二変化形容詞:第一、第二変化形容詞の格変化とその用法について学びます。 

第3回 動詞の活用(未完了過去、未来):動詞の活用(未完了過去と未来)について、その活用及び用法について学びます。 

第4回 前置詞、不定詞:前置詞及び不定詞の用法について学びます。 

第5回 第三変化名詞:第三変化名詞の格変化について学びます。 

第6回 動詞の活用(完了):動詞の活用(完了)について、完了幹と活用及びその用法について学びます。 

第7回 動詞の活用(過去完了と未来完了):動詞の活用(過去完了と未来完了)について、その活用及び用法について学びます。

第8​回 既習事項の確認:これまでに学んだ内容を復習します。

​【使用テキスト】

​河島思朗『基本から学ぶラテン語』ナツメ社、2016年

 

講師

村上寛(むらかみひろし) 

日本学術振興会特別研究員PD(東京大学)。立教大学、明治学院大学、上智大学非常勤講師(ラテン語科目)、早稲田大学非常勤講師。専門は西洋中世思想。「『単純な魂の鏡』における三つの死と三つの生」(甚野尚志、益田朋幸編『ヨーロッパ文化の再生と革新』、知泉書館、2016年)、「マルグリット・ポレートと修道院神学―意志概念を手がかりとして―」(『中世思想研究』第54号、2012年)他。

  哲学  

ヘーゲル『精神現象学』を読む ★★ (受講料:12,000円/1期)※定員10名・月2回の開講 満員御礼・キャンセル待ち

第2・4金曜日 19:30〜21:00(9/8, 9/22, 10/13, 10/27, 11/10, 11/24, 12/8, 12/22) /会場:リトマス

この人文ゼミでは、講師が翻訳したヘーゲル『精神現象学』を実際に読みながら、担当講師による 解説と、受講者相互の議論を通じて、理解を深めていきます。『精神現象学』は1807年に出版された、ヘーゲルの主著であり、哲学史上の著作の中でもとく に難解なことで知られていますが、専門家の手引きがあれば、予備知識のない読者でも十分読み進めていくことができます。今期は、「意識章」の中の「悟性」を読み進めていきます。この箇所はこの『精神現象学』の最初の難関と言ってもいいでしょう。ここでヘーゲルは自然界に力や法則を見出す自然科学的な認識のあり方の欺瞞を暴露していきます。最初の回にこれまでの概要を解説しますので、初めての方も理解していただけるように進めていきます。各回進むのは5頁程度となります。

 

【使用テキスト】
担当講師による翻訳を配布いたしますが、既存の翻訳を手元に置いておきたい方は以下のものが比較的安価で定評があります。
樫山欽四郎訳『精神現象学 上』平凡社ライブラリー、1997年

 

講師

大河内泰樹(おおこうち たいじゅ)

一橋大学大学院社会学研究科教授。哲学(ドイツ観念論、批判理論)。

国立人文研究所代表。

『人文学と制度』(共著、未來社、2013年)、『労働と思想』(共著、堀之内出版、2015年)、『神話・狂気・哄笑−−ドイツ観念論における主体性』(監訳、堀之内出版、2015年) など。