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  哲学  

原子力をめぐる哲学

第2土曜日 15:00-16:30(※初回のみ15:15〜16:45)(9/10、10/8、11/12、12/10)

原子力を扱う学問は科学であって、哲学ではない、と思われる方も多いかも知れません。しかし、第二次世界大戦以降、多くの哲学者が原子力を重要なテーマとして位置づけ、様々な議論を展開してきました。そうした哲学者として、この講座ではマルティン・ハイデガー、ハンナ・アーレント、ギュンター・アンダース、ハンス・ヨーナスの4人の思想を取り上げ、そのエッセンスをお話しします。今なお原子力によって脅かされ続けている現代社会を、新しい光のもとで考えていきましょう。

 

【授業予定】

第1回 ハイデガーにおける原子力

第2回 アーレントにおける原子力

第3回 アンダースにおける原子力

第4回 ヨーナスにおける原子力

 

講師

戸谷洋志(とや ひろし)

大阪大学大学院博士後期課程、学習院大学ラーニングサポートセンタースタッフ、大阪大学「医の倫理と公共政策学教室」特任研究員。哲学(現代ドイツ思想、環境倫理)。

論文「原子力をめぐる哲学――現代ドイツ思想を中心に」で第31回暁烏敏賞第一部門(哲学・思想)を受賞。「3.11以降の世代間倫理――討議か、想像力か」(SYNODOS、2014年)、「現代思想のなかの原子力発電所」(『科学』、岩波書店、2015年5月号)など。

 

 

 

  文学  

ディズニーとジブリから読む女性と労働の現在

第3火曜日 19:00〜20:30(9/20、10/18、11/15、12/20)

本講義では、ディズニー映画やジブリ映画を中心としたポピュラー・カルチャーを題材としつつ、そこに表現されている、現代の女性とフェミニズムの置かれている状況について考察します。例えば大ヒットした『アナと雪の女王』はフェミニズム的な映画と言えるでしょうか? また、宮崎駿『千と千尋の神隠し』で描かれる「労働」は、これまでの「労働」とはいかに異なっているのでしょうか? こういった疑問を通じて、ポピュラー・カルチャーを社会的な観点から読解する方法を学ぶと同時に、現代のフェミニズムや労働をめぐる社会学的な知見を学ぶことを目指します。受講にあたっては、指定された映画を前もって鑑賞していただくことが望ましいですが、観ていなくても理解できるような講義を心がけます。また、雑誌『POSSE』における連載「文化と労働」の内容に従った講義となりますので、読んでいただければ理解が容易になります。

 

【授業予定】

第1回 ディズニー映画と女性──『アナと雪の女王』は革命的フェミニズム映画か?

▷講義の題材:『アナと雪の女王』『ブリジット・ジョーンズの日記』シェリル・サンドバーグ著『リーン・イン』など

第2回 ジブリ映画と労働──アイデンティティの労働からケア労働へ

▷講義の題材:『魔女の宅急便』『千と千尋の神隠し』など

第3回 『かぐや姫の物語』と第二の自然──新自由主義的な「生」について

▷講義の題材:『かぐや姫の物語』『風の谷のナウシカ(漫画版)』『もののけ姫』など

第4回 ポスト新自由主義へ──「第三波フェミニズム」の萌芽

▷講義の題材:『ゴーン・ガール』『ブルージャスミン』『百円の恋』『ファクトリー・ガール』など

 

講師

河野真太郎(こうの しんたろう)

一橋大学大学院商学研究科准教授。英文学・文化(20世紀)。著書に『〈田舎と都会〉の系譜学──二〇世紀イギリスと「文化」の地 図』(ミネルヴァ書房)等。

 

 

『ダブリナーズ』を読む――「ジョイスの罠」をエンジョイスる方法

第4木曜日(9月のみ第5) 19:15〜20:45(9/29、10/27、11/24、12/22)※会場:スペースコウヨウ

『ダブリナーズ』は言葉の職人ジェイムズ・ジョイス(1882-1941)の力量がいかんなく発揮された短篇集です。一見すると読みやすい作品ですが、簡潔で抑えの効いたその文体からは逆説的にふくよかな意味が醸し出され、時には罠とも思えるようなものを読者に用意します。本講義では、『ジョイスの罠』(言叢社、2016)を教科書に用いながら、そんな「ジョイスの罠」に嵌まるのを楽しむ方法についてお話しします。

【授業予定】

第1回 「姉妹たち」:語らない言葉への招待

第2回 「複製」「恩寵」:語ってしまう言葉への招待

第3回 「母親」「蔦の日の委員会室」と「劇化」

第4回 「死者たち」と映画「ザ・デッド」:罠に嵌まったヒューストン監督

 

講師

金井嘉彦(かない よしひこ)

一橋大学大学院法学研究科教授。アイルランド文学、英文学、アングロ=アイリッシュ文学。『ジョイスの罠―『ダブリナーズ』に嵌る方法』(言叢社・編著)、『『ユリシーズ』の詩学』(東信堂)等

 

 

 

  歴史  

国立からみる近代日本(募集を締め切りました) 

第3(9月のみ第2)日曜日 10:15〜11:45 (9/11、10/16、11/20、12/18)※会場:スペースコウヨウ

歴史学は、「いま」「ここ」を起点として過去をみつめ、「むこう」を、あるいは「むこう」から考える学問です。そこでは、身近にあるモノやコトへの着目や問いが、学びにおける大切な出発点のひとつとなります。この授業では、国立という場に立って、国立「の」近代を、いくつかのポイントにしぼって掘りさげるとともに、その背後に広がる社会のありようを展望することで、国立「から」近代の日本社会を考えることを目指します。

【授業予定】

第1回 甲州街道から、近代の来た道を考える

第2回 谷保から、地域政治とアイデンティティを考える

第3回 大学通りから、都市化の磁場を考える

第4回 国立駅前から、戦争と地域を考える

講師

石居人也(いしい ひとなり) 

一橋大学大学院社会学研究科教授。歴史学(日本近代史)。

『歴史学と、出会う』(共編著、青木書店、2015年)、「社会問題の「発生」」『岩波講座日本歴史』第16巻(岩波書店、2014年)、『近代都市の装置と統治』(共著、日本経済評論社、2013年)など。

 

 

近代日本における女性の労働・移動・性−−「からゆきさん」とは誰か?

第3水曜日 19:00〜20:30(9/21、10/19、11/16、12/21)

「からゆきさん」という言葉をご存知でしょうか。「からゆきさん」とは開国以降に海を渡って外国の地で売春に従事していた女性たちのことを指します。講義では、近世から近代までの買売春の歴史や性規範の変容をおさえながら、「からゆきさん」が生み出された背景と、その後も女性たちの海外への移動を維持、促進した言説や政策をみていきます。4回の講義を通して、近代日本における性・移動・権力について学び、当時の女性が身を置いていた日本社会の構造と植民地主義について一緒に考えたいと思います。

 

【授業予定】

第1回 「からゆきさん」イントロ──近世までの買売春と性規範

第2回 日本の海外膨張主義と「からゆきさん」

第3回 「からゆきさん」をめぐる言説

第4回 山崎朋子『サンダカン八番娼館』と森崎和江『からゆきさん』比較

講師

嶽本新奈(たけもと にいな)

立教大学ジェンダーフォーラム教育研究嘱託員、一橋大学大学院言語社会研究科特別研究員。専門は日本近代ジェンダー史。『「からゆきさん」——海外〈出稼ぎ〉女性の近代』(共栄書房、2015年)、「分断される『女/性』──愛国婦人会芸娼妓入会をめぐって」『ジェンダーと社会』(旬報社、2010年)など。

     

  音楽  

ベートーヴェンの「第九」を聴く

第1金曜日 19:15〜20:45(9/2、10/7、11/4、12/2)※会場:スペースコウヨウ

「第九」は、日本では年末の風物詩ともなっていますし、第4楽章の有名な「歓喜の歌」は、ほとんどの方が耳にしたことがあるでしょう。しかし、腰を据えてじっくりと聴いたり、歴史的な背景を考えたりする機会がない人も多いのではないでしょうか。シラーの詩と「第九」という楽曲の間には、ほぼ40年という時間が横たわっており、その間に起きたフランス革命や革命戦争などによって、時代は大きく変容しました。この講座では、こうした背景にも考察を加えながら、楽曲に親しんでいきます。楽譜は苦手という方も歓迎です。
 

【授業予定】

第1回 シラーと「歓喜の歌」
第2回 「第九」作曲の経緯と背景
第3回 ベートーヴェンと「歓喜の歌」
第4回 音楽史の中の「第九」

 

講師

沼口 隆(ぬまぐち たかし)
国立音楽大学准教授。音楽学(西洋音楽史)。
『楽譜を読む本 ~感動を生み出す記号たち~』(共著、ヤマハミュージックメディア、2010年)、『厳選CD100曲 よくわかる クラシックの基本』(共著、西東社、2011年)、ハインリヒ シェンカー『ベートーヴェンのピアノ・ソナタ第32番op.111 批判校訂版: 分析・演奏・文献』(共訳、音楽の友社、2014年)ほか。

​  社会学  

エーリッヒ・フロム:愛と悪と希望の社会心理学

第3金曜日 19:00〜20:30(9/16、10/21、11/18、12/16)

ドイツ系ユダヤ人として生を受けたエーリッヒ・フロム(1900-1980)は、第一次世界大戦、ナチスの台頭、第二次世界大戦そして米ソ冷戦時代という激動の20世紀を駆け抜けた思想家です。その思想はスピノザ、マルクス、フロイト、さらにはユダヤ・キリスト教神秘主義、禅仏教など、洋の東西を問わない幅広い思潮によって鍛え上げられ、独自のヒューマニズム思想に根ざした社会学、社会心理学を生み出しました。本講座では、フロムの生きた時代を振り返りながら「悪」「愛」「希望」という三つのキーワードに注目し、今なお汲みつくせない可能性に光を当てます。

第1回 フロムの生涯とその思想:心の闇と社会の謎

第2回 大衆社会と悪の支配:権威主義・画一性・破壊性

第3回 愛するということ:愛の理論と実践

第4回 新たな悪と未来への希望:〈リアル〉を求めて

講師

出口剛司(でぐち たけし)

東京大学大学院人文社会系研究科准教授。社会学。著書に『エーリッヒ・フロム:希望なき時代の希望』(新曜社、2002年)、『〈私〉をひらく社会学 (大学生の学びをつくる)』(共著、大月書店、2014年)等。

人文学

  哲学  

ヘーゲル『精神現象学』を読む

第四金曜日(9月のみ第五金曜日)19:00〜20:30(9/30、10/28、11/25、12/23)※定員10名

 この人文学ゼミでは、ヘーゲル『精神現象学』の日本語訳を実際に読みながら、担当講師による 解説と、受講者相互の議論を通じて、理解を深めていきます。『精神現象学』は1807年に出版された、ヘーゲルの主著であり、哲学史上の著作の中でもとく に難解なことで知られていますが、専門家の手引きがあれば、予備知識のない読者でも十分読み進めていくことができます。今期は、ヘーゲルが「意識の経験の学」の方法を述べた「緒論」から読み始めます。丁寧に読み進めていきますので、各回進むのは3〜5頁程度となります。

 

【使用テキスト】
担当講師による翻訳を配布いたしますが、既存の翻訳を手元に置いておきたい方は以下のものが比較的安価で定評があります。
樫山欽四郎訳『精神現象学 上』平凡社ライブラリー、1997年

 

講師

大河内泰樹(おおこうち たいじゅ)

一橋大学大学院社会学研究科教授。哲学(ドイツ観念論、批判理論)。

国立人文研究所代表。

『人文学と制度』(共著、未來社、2013年)、『労働と思想』(共著、堀之内出版、2015年)、『神話・狂気・哄笑−−ドイツ観念論における主体性』(監訳、堀之内出版、2015年) など。

人文学ゼミ